「結婚したくない」と思う自分は、どこかおかしいのでしょうか。そう気になったことはありませんか。
先にお伝えすると、おかしくありません。結婚したことのない40代の独身者では、3割ほどが結婚を「したくない」と答えています。50代の女性では半数を超えます。
この記事では、そう感じる6つの理由を、国の調査をもとに整理しました。「したくない」と「できない」の違いにも触れます。結婚しない前提で暮らすときに備えておきたい5つのことと、周りに聞かれたときの受け止め方も紹介します。
「結婚したくない」と思うのは、おかしいことではありません
結婚したくないという気持ちは、おかしいものではありません。結婚を望む人がいるのと同じように、望まない人もいます。
「結婚願望」という言葉はよく使われます。ただ、誰にでも当然あるものではありません。

40代以上では、3人に1人以上が「結婚したいと思わない」
2021年度の国の調査では、結婚したことのない独身者に結婚の意思を聞いています。結婚を「出来ればしたくない」「したくない」と答えた人の割合は、次のとおりです。
| 年代 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 30代 | 25.4% | 26.5% |
| 40代 | 31.4% | 29.8% |
| 50代 | 55.6% | 38.9% |
| 60代 | - | 39.2%※ |
出典:内閣府「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」(2021年度)※60代の男性は設問の形が異なるため、「結婚意思なし」と答えた人の割合を載せています。
この数字には、「どちらでもいい」と答えた人は含まれていません。40代の女性では、「どちらでもいい」が約3割います。結婚を強く望んではいない人は、合わせるとさらに多くなります。
年代が上がるほど、割合は高くなります。50代の女性では半数を超え、60代の男性でも4割近くになります。年齢を重ねてから結婚を望まなくなるのは、珍しいことではありません。
「結婚するつもりはない」人は年々増えている
18歳から34歳の未婚者を対象にした調査もあります。「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、2021年に女性14.6%、男性17.3%でした。2015年は女性8.0%、男性12.0%でしたので、6年で1.5倍前後に増えています。(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
50歳の時点で一度も結婚していない人の割合も上がっています。2020年は女性17.8%、男性28.3%でした。1990年は女性4.3%、男性5.6%でしたので、30年で女性は約4倍、男性は約5倍になっています。(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
いまの40代・50代が育った時代には、結婚するのが当たり前という空気がありました。その感覚のまま「自分はおかしい」と感じてしまう方もいます。けれど実際の数字は、この30年で大きく変わりました。結婚しないまま人生を組み立てる人は、もう珍しくありません。
「甘え」や「わがまま」ではありません
「結婚しないのは甘えだ」「わがままだ」と言われた経験がある方もいるでしょう。言われた側は、そう簡単に割り切れないものです。
親や親戚から言われることもあれば、職場の雑談でそういう空気を感じることもあります。悪気のない言い方ほど、あとから思い出してしまうものです。
その場で言い返せなくても構いません。自分の選択を、相手に納得してもらう必要はないからです。
けれど、数字が示すとおり、結婚しない生き方はもう特別なものではありません。選ばなかったことを、誰かに説明する義務もありません。
「結婚願望がないのは、恵まれているからだ」と決めつけられることもあります。それは、その人の事情を見ていない言葉です。
「いつか気が変わる」と言われることもあるでしょう。変わる人もいれば、変わらない人もいます。どちらも自然なことで、いまの気持ちを否定する理由にはなりません。
気持ちがはっきり決まっている方も、まだ揺れている方もいます。どちらでも構いません。
結婚したくないと感じる6つの理由
自分の気持ちに近いものがあれば、それがあなたの理由です。当てはまるかどうかを診断するためのものではありません。
若いころは結婚するものだと思っていた方が、年代を重ねて変わることもあります。ここでは、よくある6つの理由を紹介します。もとにしたのは、40代から60代の独身者を対象にした2021年度の国の調査です。

結婚に縛られず、自由に暮らしたい
いちばん多い理由がこれです。調査では、積極的には結婚したいと思わない40〜69歳の独身者に理由をたずねています。「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」が当てはまると答えた人は、女性で60.7%、男性で44.1%でした。
使うお金も、休みの日の過ごし方も、住む場所も、自分で決められます。誰かに合わせて予定を変えることもありません。
仕事のあとにどこへ寄るかも、週末に何時に起きるかも、自分だけで決まります。小さなことの積み重ねですが、誰にも断らずに決められる身軽さがあります。
長く自分のペースで暮らしてきた方なら、なおさらです。その自由を手放す理由が見つからないのは、自然なことです。
今の生活に満足していて、変える理由が見つからない
不満がないから動かない、という状態もあります。男性では38.1%が「今のままの生活を続けた方が安心だから」に当てはまると答えました。
暮らしのかたちが整っていると、変えることそのものが負担になります。結婚を考えないというより、いまのかたちを変える理由が見つからないという感覚に近いでしょう。
部屋の使い方も、食事の時間も、自分に合うかたちで落ち着いています。そこに人が入ると、ひとつずつ決め直すことになります。
満足しているなら、それを崩す必要はありません。
誰かと生活を共にしたいと思わない
女性では40.1%が「誰かと一緒に生きていきたいと思わない」に当てはまると答えています。
ひとりの時間がないと落ち着かない人もいます。家に帰って誰かがいる暮らしを、心地よいと感じない人もいるでしょう。
帰ってから眠るまでの時間を、誰にも気を使わずに過ごしたいと感じる方もいます。その方にとって、同居は休まる時間が減ることでもあります。
友人や家族とは仲がよくても、同じ家で毎日を過ごすのは別だと感じる方もいます。それは性格の欠点ではなく、必要な距離が人によって違うということです。
結婚生活を続けるお金の不安がある
男性では40.9%が「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」に当てはまると答えました。
ふたりで暮らす費用や、将来にかかるお金を考えて立ち止まる人もいます。今の収入で自分ひとりは成り立っていても、相手の生活まで背負えるかは別の話です。
ふたりで暮らすとなると、考えることが増えます。住まいを広げることも、将来に備えることも、ひとり分では済まなくなります。自分ひとりなら見通しが立つのに、と感じる方は少なくありません。
相手に不自由をさせるかもしれないと考えて、踏み出せない方もいます。
恋愛や結婚で傷ついた経験がある
女性では32.1%が「結婚・恋愛に失敗した経験があり、もうしたくない」に当てはまると答えています。離婚を経て、いまはひとりで暮らしている方も含まれます。
つらい経験をしたあとで、もう一度同じ場所に立ちたくないと思うのは当然です。乗り越えなければならないものでもありません。
離婚を経て、ようやく自分のペースを取り戻した方もいます。いまの落ち着きを、もう一度手放す気になれないのは自然なことです。(出典:内閣府)
育った家庭のイメージが重なっている
親の関係を近くで見てきて、結婚に良い印象を持てないままの方もいます。言い争いが多かった家庭や、我慢を続ける姿を見てきた家庭もあるでしょう。そうした記憶は、自分の選択に重なります。
これは家庭の良し悪しの話ではありません。自分が見てきたかたちを、そのまま繰り返したいとは思わないという気持ちです。
自分も親のようになるのではないか、と思うと、踏み出す前に足が止まります。実際にそうなるとは限りませんが、その不安は簡単には消えません。
結婚までの手続きや、家族との調整を面倒に感じる方もいます。理由はひとつに絞らなくて構いません。いくつかが重なっている方のほうが多いでしょう。
「結婚したくない」と「結婚できない」は別のもの
検索する言葉は同じでも、気持ちの中身は2つに分かれます。この2つを混ぜたままにすると、自分を責める材料になってしまいます。

- 結婚したくない: 自分で望んでいない状態
- 結婚できない: 望んでいるのに、かなっていない状態
前者は選んだ結果で、後者は事情が重なった結果です。どちらが良いという話ではありません。
ただ、まわりから見ると、この2つは同じ「独身」に見えます。だから「まだ結婚しないの」と聞かれ、自分でも「したくないのか、できないのか」と考え込んでしまうのです。
大切なのは、いまの暮らしで自分が困っているかどうかです。困っていないなら、どちらであっても問題はありません。
なお、この2つは一人の中で混ざることもあります。結婚したい気持ちが少しはあるけれど、そのために動く気にはなれない、という方もいます。そういう状態も、どちらかに分けなくて構いません。
気持ちが揺れるのは自然なこと
友人の結婚の知らせを聞いた日や、親の言葉を受けた日に、心が動くことがあります。「このままでいいのだろうか」と落ち着かなくなる日もあるでしょう。
同年代が次々と結婚していく時期は、特にそうです。自分だけが立ち止まっているように見えて、焦りが出ることもあります。
けれど、周りの動きは自分の答えとは関係がありません。時期がそろっているだけで、進み方は人によって違います。
揺れたときは、何に心が動いたのかだけ見ておきましょう。結婚そのものなのか、それともひとりでいる将来への不安なのかを分けて見ると、必要な手当てが変わってきます。
その揺れは、決めきれていない弱さではありません。いま結論を出さなくても構いません。
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結婚しない人生で得られるものと、向き合うことになること
結婚しない選択には、得られるものと、自分で担うことになるものがあります。どちらも先に知っておくと、落ち着いて選べます。
結婚した人と比べて良いか悪いかという話ではありません。暮らしのかたちが違うだけです。

時間とお金を、自分の判断で使える
休みの日をどう使うかも、どこに住むかも、自分ひとりで決められます。仕事を変えるときも、相手の都合を確かめる必要がありません。
まとまった休みの使い方も自由です。行き先も日程も、相手の予定に合わせる必要がありません。
お金の使い方も同じです。学びたいことや行きたい場所に、自分の判断で使えます。使い道を自分で決められる分、何にかけたいかがはっきりしてくる方もいます。
50代や60代から学び直しを始めたり、住む場所を移したりする方もいます。自分の判断だけで動けるのは、大きな強みです。
人づきあいの負担が少ない
相手の家族との関係や、親族の行事に使う時間がありません。付き合う相手を自分で選べるのも、ひとりでいることの身軽さです。
気が合う人とだけ長く付き合い、合わない相手とは距離を置くこともできます。
年末年始やお盆の予定も、自分で組み立てられます。義理で出る集まりが少ないのは、時間だけでなく気持ちの負担も軽くします。
年齢を重ねるほど、人との距離を自分で選べることの価値は増していきます。
注意点は、暮らしの土台をひとりで整えることになること
ひとりで担うことになるのは、お金のこと、住まいのこと、体調を崩したときのことです。こうした場面では、家族の代わりになる仕組みを自分で用意します。
入院の手続きや、施設に入るときの手続きでは、家族の名前を求められることがあります。ひとりで暮らしていると、その場で慌ててしまいがちです。
賃貸の契約でも、保証人を求められることがあります。長く同じ場所に住んでいると意識しませんが、住み替えのときに出てくる話です。
親や兄弟が元気なうちは、頼める相手がいます。ただ、自分が60代70代になるころには、その相手も同じだけ年を重ねています。誰に頼むかは、早いうちに一度考えておくほうが安心です。
とはいえ、早めに整えておけば対処できることです。不安の中身が分かれば、ひとつずつ準備できます。次の章で、備えておきたいことを5つ紹介します。
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結婚しない前提で暮らすなら、備えておきたい5つのこと
備えといっても、いますべてをそろえる必要はありません。1年に1つずつでも構いません。
大切なのは、必要になってから慌てないことです。どれも、元気なうちのほうが選べる幅が広くなります。
ここで紹介する5つは、順番どおりに進めなくても構いません。気になるものから始めてください。
全部を自分で抱える必要もありません。市区町村の窓口や専門家に聞ける部分は、聞いてしまったほうが早く進みます。
老後のお金の見通しを一度立てておく
まず、自分が受け取る年金の見込み額を確認しておきましょう。日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すると、将来受け取る年金の見込み額を確かめられます。
見込み額が分かれば、いまの貯蓄で足りるかを一度計算できます。足りない分が見えるだけでも、不安はだいぶ軽くなります。
足りないと分かった場合も、いまから取れる手はあります。働き方や支出を見直す時間が残っているかどうかで、選べる幅が変わります。早く気づくほど、無理のない調整で済みます。
住まいを「いつまでどこで」の視点で考えておく
いまの住まいに何歳まで住み続けるつもりかを、一度考えておきましょう。賃貸を続けるのか、購入するのか、実家をどうするのかも合わせて整理しておきます。
高齢になってからの住み替えでは、保証人や保証会社の審査を求められることがあります。早めに情報を集めておくと、選べる幅が広がります。
階段の上り下りや、買いものに行く距離も、年齢とともに負担が変わります。いまは気にならないことが、10年後には毎日の負担になるかもしれません。
住み替えを考えるなら、体力のあるうちのほうが動きやすくなります。決めるのは先でも、選択肢だけは早めに知っておきましょう。
持ち家の方は、修繕や建て替えの費用も考えておきましょう。年数が経つほど、まとまった出費が出てきます。
実家をどうするかは、親御さんが元気なうちに話しておくほうがまとまります。あとから決めようとすると、判断する人が自分ひとりになりがちです。
体調を崩したときに頼れる先を決めておく
入院や手術のときには、連絡先を書く欄があります。頼める相手を、あらかじめ決めておきましょう。
親や兄弟に頼めない場合もあります。友人や、仕事で付き合いのある人に、前もって話しておく方もいます。
かかりつけの医療機関を決めておくのも、備えのひとつです。普段の様子を知っている医師がいると、急なときに話が早く進みます。飲んでいる薬がある方は、名前を控えておくと受診のときに正確に伝えられます。
介護や暮らしの相談は、市区町村が設置する「地域包括支援センター」で受け付けています。地域の高齢者の総合的な相談窓口で、介護予防に必要な援助も行っています。名前と場所を、いまのうちに確かめておくとよいでしょう。
医療や介護の希望を書き残しておく
判断が難しくなったときに、誰に何を託すかを決めておく方法があります。判断能力が十分なうちに、任せる人と任せる内容を契約で決めておく制度(任意後見制度)や、身元保証のサービス、遺言などです。
治療やケアについての希望を、紙に書いておく方法もあります。延命についての考えや、どこで過ごしたいかなどです。元気なうちに整理しておくと、周りも判断しやすくなります。
手続きを取らなくても、考えを誰かに伝えておくだけで違います。まずは、頼みたい相手に一度話してみましょう。
書いたものは、しまい込まずに置き場所を伝えておきましょう。見つけてもらえなければ、書いた意味がなくなってしまいます。
どれが自分に合うかは、親族の状況や資産によって変わります。ケースにより異なるため、市区町村の窓口や専門家に相談しましょう。
家族以外のつながりを持っておく
困ったときに声をかけられる相手が複数いると安心です。昔からの友人、趣味の仲間、地域の活動で知り合った人などです。
ひとりだけに頼ると、その人の事情で頼れなくなります。ゆるやかなつながりをいくつか持っておくほうが、長く続きます。
新しくつながりをつくりたいときは、習いごとや地域の活動に参加してみるのもよいでしょう。同じ趣味の集まりなら、結婚しているかどうかを気にせず話せます。
つながりは、急に必要になってから作れるものではありません。元気なうちに、月に一度でも顔を合わせる相手を持っておきましょう。連絡を取り合う相手が何人いるかを、一度数えてみるのもよいでしょう。
結婚のことを聞かれたときの受け止め方
親や親戚、職場の雑談で、結婚のことを聞かれる場面があります。毎回きちんと説明しようとすると、それだけで疲れてしまいます。

返し方を先に決めておくと、その場で考えなくて済みます。相手によって変えても構いません。親には少し丁寧に伝え、職場では短く済ませるという具合です。場面ごとに決めておくと迷いません。
方向は3つあります。
- 軽く流す: 「いまの暮らしが気に入っているんです」
- 話題を変える: 「そういえば、ご家族はお元気ですか」
- 線を引く: 「その話は、自分で決めたいと思っています」
どれも、相手を否定しない言い方にしています。「余計なお世話です」と返すと、その場は収まっても気まずさが残ります。長く付き合う相手ほど、軽さのある返し方のほうが続けやすくなります。
何度も聞いてくる相手には、同じ返しを繰り返すのも手です。毎回説明を変えると、相手は「まだ揺れている」と受け取ります。同じ言葉を返していると、そのうち話題に上らなくなります。
相手を責める言い方にしなくても、線は引けます。自分の考えを、すべて分かってもらう必要はありません。
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まとめ
「結婚したくない」という気持ちは、おかしいものではありません。結婚したことのない40代の独身者では3割ほどが、同じように答えています。50代の女性では半数を超えます。
理由は人それぞれです。自由でいたい方、今の暮らしに満足している方、傷ついた経験がある方がいます。どれも、誰かに説明のいらない理由です。
いま決めきらなくても構いません。暮らしの土台を少しずつ整えておけば、どちらを選んでも落ち着いていられます。備えは、思い立った日にひとつ決めれば十分です。
結婚するかしないかよりも、これからをどう暮らすかのほうが、毎日に効いてきます。
まずは、年金の見込み額を一度確認することから始めましょう。
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