親の介護をしながらできる仕事12選|続けやすい働き方と使える制度

親の介護をしながら続けやすい仕事には、3つの共通点があります。時間を調整しやすいこと、在宅でできること、急に休んでも周りが回ることです。今の仕事を辞めなくても、続ける道はあります。介護休業や介護休暇、残業の免除などの制度を使う方法です。

介護が始まると、今の働き方で続けられるのか不安になりますよね。親の介護で仕事ができないと感じるのは、珍しいことではありません。

この記事では、介護をしながら続けやすい仕事の条件と、具体的な仕事を12個紹介します。辞めずに使える制度や、辞める前に確かめたいこと、相談先もまとめました。

親の介護をしながら仕事を続けやすい3つの条件

介護は、予定どおりに進まないことが多いものです。通院の付き添いや、デイサービスへの送り出しがあります。急に体調が変わって、呼び出されることもあるでしょう。

そのため、仕事を選ぶときは、次の3つの条件に合うかを見てみましょう。今の仕事を見直すときの物差しにもなります。

壁掛けカレンダーに書き込んだ通院やデイサービスの予定を、手帳と照らし合わせる50代の女性の手元

時間を自分で調整しやすい

勤務の時間や日数を自分で選べる仕事は、介護と両立しやすくなります。シフトを組みやすい仕事や、始業と終業の時刻をずらせる仕事です。

たとえば、デイサービスの迎えが朝9時なら、10時からの勤務が向いています。フレックスタイムや時差出勤がある会社もあります。そうした会社なら、正社員のまま時間を調整できることもあります。

通勤がない・短い

在宅でできる仕事や、家の近くで働ける仕事も続けやすい仕事です。通勤の時間が減るぶん、その時間を介護や自分の休息に回せます。

離れて暮らす親の様子を見に行く場合は、休みの取りやすさも大事です。帰省や通院の付き添いに合わせて、まとまった休みを取れるかを確かめましょう。

あわせて読みたい:離れて暮らす親の見守り方法8つ|無理なく続く選び方と相談先

急に休んでも仕事が回る

介護では、急に休む日がどうしても出てきます。そのときに仕事が止まらないかどうかも、見ておきたい条件です。

ひとつは、締め切りの中で自分のペースで進められる仕事です。もうひとつは、交代できる人がいる仕事です。休みにくいと感じる職場かどうかは、仕事選びの大事な目安になります。

親の介護をしながらできる仕事12選

親の介護をしながらできる仕事を、働き方ごとに12個紹介します。まずは一覧で、自分に合いそうなものを探してみてください。

転職だけが選択肢ではありません。今の会社のまま、働き方を変えられる場合もあります。50代や60代から始めやすい仕事も入れました。

自宅のダイニングテーブルで、ノートパソコンを使って在宅の仕事をする50代の女性
仕事主な働き方介護と両立しやすい点
1. データ入力・事務の代行在宅締め切りの中で時間を選べる
2. Webライター・文字起こし在宅夜や早朝にも進められる
3. カスタマーサポート在宅(シフト制)勤務の時間帯を選びやすい
4. Webデザイン・プログラミング在宅経験があれば在宅の仕事を探しやすい
5. 派遣の事務派遣日数や時間を条件にして探せる
6. 在宅勤務ができる会社の事務正社員・契約社員これまでの経験を生かせる
7. 品出し・軽作業パート家の近くで短い時間から働ける
8. オフィスや施設の清掃パート早朝など短い時間の勤務がある
9. ネットショップ・作品の販売自営自分のペースで進められる
10. 介護職正社員・パート介護の知識が親の介護にも役立つ
11. 医療事務・調剤薬局事務正社員・パート通院の流れがよく分かる
12. 家事代行パート・登録制家事の経験を生かせる

在宅でできる仕事4選

在宅の仕事は、通勤がなく、親のそばで働けるのがよいところです。パソコンとインターネットの環境があれば始められる仕事を中心に紹介します。

1. データ入力・事務の代行

会社から届く資料を入力したり、書類を整えたりする仕事です。パソコンの基本的な操作ができれば、始めやすい仕事です。締め切りの中で、働く時間を自分で選べます。ただ、1件あたりの報酬が低い仕事もあるため、条件をよく確かめましょう。

2. Webライター・文字起こし

Webの記事を書いたり、録音した会話を文章にしたりする仕事です。親が寝ている夜や、朝の早い時間にも進められます。慣れるまでは、1本を仕上げるのに時間がかかることもあります。

3. カスタマーサポート

電話やメール、チャットで、お客さまの問い合わせに答える仕事です。在宅で働ける求人もあります。シフト制が多いので、勤務の時間帯を選びやすいでしょう。ただ、勤務中は電話の前を離れにくい点に注意が必要です。

4. Webデザイン・プログラミング

Webサイトの見た目を作ったり、システムを作ったりする仕事です。経験やスキルがあれば、在宅の仕事を探しやすい分野です。未経験から始める場合は、学ぶ期間が必要になります。

在宅の仕事には、会社に雇われて働く形と、仕事ごとに請け負う形(業務委託)があります。業務委託では、介護休業などの会社員向けの制度は使えません。この点は、後で詳しく紹介します。

時間や場所を選びやすい仕事5選

外で働く仕事でも、時間や場所を選べば介護と両立しやすくなります。今の経験を生かせる仕事もあります。

5. 派遣の事務

派遣会社に登録して、事務の仕事を紹介してもらう働き方です。勤務の日数や時間を、条件にして探せます。介護の予定が変わったときも、派遣会社の担当者に相談できます。

6. 在宅勤務ができる会社の事務

経理や総務などの経験があれば、働き方の柔軟な会社へ移る方法もあります。在宅勤務や時差出勤ができると、正社員のまま両立しやすくなります。制度が実際に使われているかを、面接で確かめておきましょう。

7. 品出し・軽作業

スーパーの品出しや、倉庫での仕分けなどの仕事です。家の近くで、1日数時間から働ける求人があります。体を動かす仕事なので、介護の疲れと重ならないよう体力と相談しましょう。

8. オフィスや施設の清掃

オフィスやマンション、施設を掃除する仕事です。早朝や夕方など、短い時間の勤務があります。介護の予定と重ならない時間帯を選びやすいのがよいところです。

9. ネットショップ・ハンドメイド作品の販売

手作りの作品などを、インターネットで販売する方法です。自宅で、自分のペースで進められます。ただ、収入は安定しにくいため、ほかの仕事と組み合わせる前提で考えましょう。

介護の経験も生かせる仕事3選

親の介護で身につけたことが、そのまま役に立つ仕事もあります。

10. 介護職

訪問介護やデイサービスなどで、利用者の暮らしを支える仕事です。仕事で身につけた知識が、親の介護にも役立ちます。資格がなくても働ける職場があります。介護職員初任者研修(130時間)を修了すると、できる仕事の幅が広がります。

ただ、体力を使う仕事です。仕事でも家でも介護が続くことになるため、無理のない日数から始めましょう。

11. 医療事務・調剤薬局事務

病院や薬局で、受付や会計、保険の請求をする仕事です。通院の流れがよく分かるので、親の付き添いのときにも役立ちます。短い時間や、決まった曜日だけ働ける求人もあります。

12. 家事代行

利用する人の家で、掃除や料理などの家事をする仕事です。これまでの家事の経験を生かせます。短い時間から働ける場合もありますが、体力を使う点は介護職と同じです。

仕事を選ぶ前に確かめたい3つのこと

仕事を選ぶときは、働きやすさだけでなく、次の3つも確かめておきましょう。

  • 社会保険に入れる働き方か: 勤め先の厚生年金や健康保険に入れるかどうかです。ひとりで家計を支えている方は、自分の老後の年金にも関わります。
  • 介護休業などの制度を使えるか: 主に、会社に雇われて働く人が使える制度です。業務委託で働く場合は使えません。
  • 休みの取りやすさ: 求人票の「休みやすい」という言葉だけで判断しないようにしましょう。急に休むときの対応を、面接で聞いておくと安心です。

今の仕事を辞めずに続けるために使える制度|仕事と介護の両立

親の介護が始まっても、仕事と介護の両立は無理ではありません。2022年の調査では、仕事をしながら介護をしている人は約365万人でした。(出典:総務省)

会社員には、仕事と介護を両立するための制度があります。国は介護休業を、自分が介護をするための休みとは考えていません。仕事と介護を両立できる体制を整えるための、準備の期間と位置づけています。

職場の会議室で、上司に落ち着いて相談する50代の女性
制度内容
介護休業対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて休める
介護休業給付金介護休業の間、雇用保険から原則として休業前の賃金の67%が支給される(上限あり)
介護休暇年5日(対象家族が2人以上なら年10日)まで、時間単位でも休める
残業の免除申し出れば、原則として決められた勤務時間を超えて働かなくてよい
残業・深夜の勤務の制限申し出れば、原則として残業を月24時間・年150時間までにできる
夜10時から朝5時の勤務もなくせる
短時間勤務などの措置短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤などから
会社がいずれかを用意する
3年以上の間に2回以上使える
テレワーク2025年4月から、会社は在宅勤務などを選べるようにするよう努める

出典:厚生労働省「介護休業制度特設サイト」

制度の対象になる家族は、父母や配偶者の父母、祖父母、きょうだいなどです。要介護認定を受けていなくても、対象になる場合があります。2週間以上、いつも介護が必要な状態であれば使えます。

また、制度を申し出たことを理由にした解雇などは、法律で禁じられています。会社は、不利益な扱いをしてはいけないと決められています。遠慮せずに、使える制度を確かめましょう。

介護休業は体制を整える期間として使う

介護休業の93日は、介護が終わるまで休むための日数ではありません。介護の体制を整えるために使う期間です。たとえば、次のようなことに使えます。

  • 市区町村の窓口で、要介護認定を申請する
  • ケアマネジャーと、介護サービスの計画を相談する
  • デイサービスなどの介護サービスを探して、利用を始める

休業中は、雇用保険から介護休業給付金を受け取れます。原則として、休業前の賃金の67%が支給されます。金額には上限があります。受け取るには条件があり、会社を通じてハローワークに申請します。(出典:ハローワーク)

親の介護で仕事を休むときに、国の助成金がないか調べる方もいるでしょう。「介護離職防止」と名前のついた助成金は、会社向けのものです。働く人が直接受け取るものではありません。(出典:厚生労働省)

急な通院の付き添いには介護休暇を使う

親の介護で仕事を休めないと、悩む方は多いでしょう。そんなときに知っておきたいのが、介護休暇です。

介護休暇は、年5日まで取れる休みです。介護が必要な家族が2人以上なら、年10日まで取れます。時間単位でも取れるので、半日の通院の付き添いにも使えます。2025年4月からは、入社して6か月未満の人も取れるようになりました。

介護休暇の日を有給にするかどうかは、会社によって違います。会社の就業規則で確かめておきましょう。

会社への伝え方は事実と希望を短く

制度を使う入口は、まず上司や人事に伝えることです。2025年4月からは、会社に新しい義務ができました。介護に直面したと申し出た人に、制度を一人ひとりに知らせる義務です。使うかどうかの意向も、会社が確かめます。

伝えるときは、次の3つを短くまとめましょう。

  • 親の状態と、付き添いが必要な頻度
  • 使いたい制度や働き方
  • 仕事への影響を減らす工夫(引き継ぎや連絡の方法)

たとえば、「父の介護が始まり、月に2回ほど通院の付き添いが必要になりました。介護休暇を時間単位で使わせていただけないでしょうか」のように伝えます。

仕事を辞める・転職する前に確かめたいこと|介護離職を考えたら

仕事より親の介護が大切だと感じる場面も、ありますよね。介護のために仕事を辞めること(介護離職)を考えるのは、自然なことです。

2022年の調査では、介護や看護のために仕事を辞めた人は約10.6万人でした。(出典:総務省)辞めることが間違いというわけではありません。ただ、辞めた後に困らないよう、先に確かめておきたいことがあります。

辞めると収入と自分の年金に響く

仕事を辞めると、収入が途絶えます。介護がいつまで続くかは、誰にも分かりません。もう一度働こうとしたときに、仕事が見つかるまで時間がかかることもあります。

ひとりで家計を支えている方は、特に慎重に考えましょう。独身の方や一人っ子の方は、辞めると自分の生活費に直接響きます。会社員を辞めて厚生年金に入っていない間は、自分の老後の厚生年金も増えません。

辞める前に、今の会社の制度で続けられないかを人事に相談してみましょう。転職する場合も、次の仕事を決めてから辞めるほうが安心です。

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辞めたときの失業保険(特定理由離職者)

親の介護のために仕事を辞めた後も、失業保険を受け取れることがあります。正式には、雇用保険の基本手当といいます。ハローワークで「特定理由離職者」と判断される場合です。そうなると、自己都合の退職でも給付制限がかかりません。(出典:ハローワーク)

特定理由離職者に当たるかどうかは、離職の理由をもとにハローワークが判断します。辞めた理由が親の介護であることを、窓口でくわしく伝えましょう。受け取れるかどうかや受け取れる日数は、人によって違います。(出典:厚生労働省)

辞めたいほどつらいときは先に休む

介護と仕事の両立は、きついと感じる日もあります。心と体が限界に近いときは、仕事をどうするか決める前に、まず休みましょう。

介護休暇や有給休暇を使って、自分のための時間を作る方法があります。ショートステイという介護サービスもあります。短い期間、施設に泊まって介護を受けられるサービスです。親に数日過ごしてもらい、その間に休めます。つらさが続くときは、地域包括支援センターに相談してみてください。

あわせて読みたい:親の介護でメンタルがやられる原因と限界のサイン|負担を減らす対処法

介護と仕事の両立を助ける相談先とサービス

仕事と介護を両立するには、ひとりで抱え込まないことがいちばんの近道です。頼れる窓口とサービスを知っておきましょう。

地域の相談窓口で、相談員と書類を見ながら話す50代の女性

地域包括支援センターとケアマネジャーに相談する

最初の相談先は、親が住む地域の地域包括支援センターです。高齢者の暮らしの総合的な相談窓口で、介護をする家族の相談も受けています。

介護保険のサービスを使うには、市区町村の窓口で要介護認定を申請します。地域包括支援センターなどで、申請の手続きを代わりに行っている場合もあります。

認定を受けると、ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護サービスの計画を作ります。計画を作るときに、自分の仕事の時間を伝えておくことが両立のこつです。

介護保険のサービスで日中の介護を任せる

仕事をしている時間に頼れる介護保険のサービスには、次のようなものがあります。

  • 訪問介護: ホームヘルパーが家に来て、食事や入浴、家事などを手伝う
  • デイサービス(通所介護): 日中に施設へ通い、食事や入浴、体操などをして過ごす
  • ショートステイ(短期入所生活介護): 数日間、施設に泊まって介護を受ける

同居している家族がいても、訪問介護の家事の手伝い(生活援助)を使える場合があります。家族が仕事で不在のときなどです。迷ったときは、担当のケアマネジャーに相談しましょう。(出典:厚生労働省)

きょうだいや周りの人と分け合う

きょうだいがいる場合は、通院の付き添いや手続き、費用を分け合いましょう。誰が何をするかを紙に書き出すと、話し合いを進めやすくなります。

一人っ子や独身で、ひとりで担う方もいるでしょう。その場合も、地域包括支援センターやケアマネジャーを、介護の「チーム」として頼ってください。仕事を続けながら介護をするには、頼れる人を増やしておくと心強いものです。

あわせて読みたい:一人っ子が親の介護を独身で担うとき|5つの不安と一人で抱えない対処法

まとめ

親の介護をしながら続けやすいのは、時間を調整しやすい仕事や在宅の仕事です。急に休んでも周りが回る仕事も、続けやすくなります。今の会社のまま、働き方を変えられる場合もあります。

会社員には、介護休業や介護休暇、残業の免除などの制度があります。辞めることを考えたときは、先に収入や年金、失業保険のことを確かめておきましょう。

ひとりで抱え込まず、地域包括支援センターに相談しながら進めれば大丈夫です。まずは、会社の就業規則で、介護休暇と残業の免除の決まりを確かめてみましょう。

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