離れて暮らす親の見守り方法8つ|無理なく続く選び方と相談先

離れて暮らす親の見守りは、いくつかの方法を組み合わせるのが続けやすい形です。電話やアプリ、センサー、訪問、自治体の見守りなど、手段はさまざまにあります。

遠くにいると、親の様子がすぐには分からず心配になりますよね。大切なのは、毎日見張ることではありません。異変に早く気づける仕組みをつくることです。

この記事では、離れて暮らす親の見守り方法を8つ紹介します。親の手間や費用の違い、選び方、帰省のときに確かめたいこともまとめました。連絡が取れないときの対処の順番と、相談先も紹介します。一人で抱えなくても大丈夫です。

離れて暮らす一人暮らしの親が心配になるのは自然なこと

65歳以上で一人暮らしをしている人は、2025年に815万人あまりいます。女性は約4人に1人、男性は約5人に1人が一人暮らしです。(出典:総務省)

離れた親の暮らしぶりが気になるのは、あなただけではありません。電話の声が少し元気なかっただけで、あれこれ考えてしまう方も多いでしょう。その心配は、親を大切に思う気持ちの表れです。

自宅のリビングで、スマホの画面を見ながら少し考えている50代の女性

見守りは「異変に早く気づく仕組み」をつくること

見守りというと、親の毎日を細かく確かめるイメージがあるかもしれません。けれども本当の目的は、体調の変化や転倒、困りごとに早く気づくことです。気づいたら、必要な人や窓口につなぎます。

離れて暮らしていると、毎日顔を見ることはできません。だからこそ、親と子の両方が無理なく続けられる形を選びましょう。最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。

見守りは親子「お互いの安否確認」でもある

実は、親のほうも離れて暮らす子を心配しています。子が独身で一人暮らしをしていれば、なおさらでしょう。「ちゃんと食べているかしら」と、気にかけている親は少なくありません。

ですから見守りは、親を一方的に見張るものではありません。お互いに「今日も元気」を知らせ合う仕組みと考えてみましょう。そう伝えると、親も受け入れやすくなります。

離れて暮らす親の見守り方法8つ

離れて暮らす親の見守りには、次の8つの方法があります。ひとつだけに頼らず、いくつか組み合わせるのが安心です。安否確認の手軽さや、見守りグッズを使うかどうかで、親の手間と費用が変わります。

実家のリビングで、70代の母親と50代の娘が並んでスマホの画面を一緒に見ている
方法親の手間分かること費用の目安
1. 電話・ビデオ通話電話に出る声や表情、話の様子無料で始められる
2. スマホのアプリスマホを持ち歩く無事の知らせ、居場所無料のものと有料のものがある
3. センサー・家電ほぼ不要普段どおり暮らしているか月額の利用料、機器代がかかる
4. 見守りカメラほぼ不要部屋の様子機器代、通信環境が必要
5. 訪問訪問を受ける顔色や暮らしぶり月額の利用料がかかる
6. 緊急通報装置もしものときにボタンを押す体調の急変市区町村の貸し出し、民間サービス
7. 市区町村・民生委員申し込み、訪問を受ける地域の人から見た様子市区町村による
8. ご近所・親の友人ふだんのお付き合い「いつもと違う」に気づくかからない

費用や内容は、サービスや市区町村によって違います(2026年10月時点)。

1. 電話やビデオ通話で決まった時間に連絡する

一番手軽で、費用もかからない方法です。おすすめは、「毎週日曜日の夜」のように、連絡する日と時間を決めておくことです。決まった時間に出ないことが、異変に気づくきっかけになります。

電話では、声の調子や話の様子が分かります。同じ話をくり返す、約束を忘れるなどの変化にも気づけます。ビデオ通話なら、顔色や部屋の様子も見られます。

2. スマホのアプリで様子を知らせ合う

親がスマホを使えるなら、アプリでの見守りも手軽です。メッセージアプリの「既読」で無事を知る方法があります。家族で居場所を知らせ合う機能や、見守り専用のアプリもあります。

続けやすいのは、親が操作しなくても知らせが届くものです。スマホを一定時間使わないと家族に知らせる、といった仕組みのアプリもあります。親が毎回ボタンを押すものは、忘れると心配が増えてしまいます。

3. センサーや家電で暮らしの動きを見守る

人の動きを感じるセンサーや、ふだん使う家電で見守る方法です。電球や電気ポット、冷蔵庫の使い方で、普段どおり暮らしているかを知らせるものがあります。電気の使い方から様子を知らせるサービスもあります。

このような見守りグッズは、カメラと違って姿を映しません。見られている感じが少ないので、親も受け入れやすい方法です。月額の利用料や、機器代がかかるのが一般的です。

4. 見守りカメラで様子を確かめる

見守りカメラなら、部屋の様子を映像で確かめられます。転んで動けないときなど、すぐに状況が分かるのが強みです。

使うときは、必ず親の同意を得ましょう。映す場所は、玄関やリビングなどを親と一緒に決めます。寝室や浴室は避けると安心です。インターネットにつなぐ環境も必要になります。

5. 郵便局や配食サービスの訪問で顔を見てもらう

人が自宅を訪ねて、様子を家族に知らせる方法です。たとえば郵便局には「みまもり訪問サービス」があります。月に1回、郵便局員が自宅を訪ねます。暮らしの様子は、写真付きの報告書で家族に届きます。毎日、自動音声の電話で体調を確かめるサービスもあります。どちらも有料です(2026年10月時点)。

食事を届ける配食サービスでも、手渡しのときに様子を見てもらえることがあります。市区町村の中には、配食と見守りを合わせて行っているところもあります。直接会って話すので、顔色や暮らしぶりが伝わりやすい方法です。

6. 緊急通報装置で「もしも」のときに知らせる

ボタンやペンダントを押すと、受付の窓口につながる装置です。急に具合が悪くなったときに、助けを呼べます。

市区町村の中には、一人暮らしの高齢者の家に設置しているところがあります(例:大阪市)。対象となる人の条件や費用は、市区町村ごとに違います。民間の警備会社などのサービスには、係の人の駆けつけまで含むものもあります。

7. 市区町村の見守りや民生委員を頼る

市区町村も、高齢者の見守りや安否確認に取り組んでいます。訪問や電話での声かけ、配食と合わせた見守りなど、内容は地域によってさまざまです。費用の有無も、市区町村ごとに違います。

地域には、民生委員もいます。厚生労働大臣から委嘱され、住民の立場に立って相談に応じる人です。

家を訪ねる事業者と協力して見守る取り組みもあります。電気・ガス・水道の検針員や、新聞配達員などです。異変に気づいたら、市区町村などに知らせてもらう仕組みです。(出典:厚生労働省)親の住む市区町村で、どんな見守りがあるかを確かめてみましょう。

8. ご近所や親の友人とゆるくつながっておく

帰省したときに、お隣の人や親の友人に挨拶をしておきましょう。あなたの連絡先を伝えておくと、何かあったときに知らせてもらえます。

頼むのは「いつもと違うと感じたら、知らせてほしい」ということだけで十分です。お互いの負担が軽く、長く続けやすくなります。親が友人と出かけたり、集まりに参加したりすることも、立派な見守りです。

見守りサービスの選び方|確かめたい5つのポイント

親に合う見守りは、親の暮らし方や体の状態で変わります。子が駆けつけられる距離によっても変わります。サービスを選ぶ前に、次の5つを確かめましょう。

食卓に置かれたノートに、連絡先や曜日を書き込む手元。スマホと老眼鏡が添えてある

選ぶ前に確かめたい5つのポイント

  • 親が納得しているか: 見張られていると感じると、使うこと自体が負担になります。親の気持ちを一番に考えましょう。
  • 異変を誰が受け取り、誰が駆けつけるか: 知らせが遠くの子だけに届くと、すぐには動けません。駆けつけまで行うサービスか、近くに住む人に頼めるかを確かめます。信頼できる人に合鍵を預けておくかどうかも、あわせて決めておきましょう。
  • 親の操作がいらないか: ボタンを押す、充電するなどの手間が多いと続きません。
  • 費用はどのくらいか: 月額の利用料に加えて、機器代や工事費も確かめます。解約するときの条件も見ておきましょう。
  • 親の状態が変わっても続けられるか: 入院や介護が始まったときのことも考えておきます。

なかでも大切なのは、2つ目の「誰が駆けつけるか」です。独身や一人っ子で、知らせを受けるのが自分一人という方もいるでしょう。知らせを受ける人と、駆けつける人を分けて考えると、一人で抱え込まずにすみます。

親の状態に合わせた組み合わせの例

見守りは、親の状態に合わせて少しずつ足していくと無理がありません。組み合わせの例を表にまとめました。

親の状態組み合わせの例
元気で、身の回りのことは自分でできる決まった時間の電話、アプリ、ご近所とのつながり
もの忘れや足腰の衰えなど、心配が出てきた上の方法+センサーや家電、訪問の見守り
地域包括支援センターにも一度相談する
一人での暮らしに不安が大きい、介護が近い上の方法+駆けつけのある緊急通報
要介護認定の申請について相談する

最初から全部そろえる必要はありません。まずは、費用のかからない電話やご近所とのつながりから始めてみましょう。

親が見守りを嫌がるときの伝え方

親の中には、「まだ大丈夫」「見張られるのはいや」と見守りを嫌がる方もいます。そんなときは、伝え方を少し工夫してみましょう。

ダイニングで、70代の父親と50代の息子がお茶を飲みながら穏やかに話している
  • 自分の気持ちとして伝える: 「心配だから」より「自分が安心したいから」と伝えます。親も受け止めやすくなります。
  • お互いの安否確認にする: 「お互いに、元気だと知らせ合おう」と提案してみましょう。子も一人暮らしなら、自然に切り出せます。
  • 姿を映さない方法から試す: カメラに抵抗があるなら、電話やセンサーなどから始めます。
  • 設定は帰省のときに一緒にする: 使い方を一緒に確かめます。どの方法にするかは、親に決めてもらいましょう。

無理に押しつけると、連絡そのものが負担になることもあります。決めるのは親という姿勢で、親のペースを大切にしましょう。

帰省のときに確かめておきたい6つのこと

帰省は、親の暮らしの変化に気づける大切な機会です。次の6つを、さりげなく確かめておきましょう。見守りの方法を選ぶときの材料にもなります。

実家の台所で、冷蔵庫の中を確かめる50代の人物の後ろ姿と手元
  1. 冷蔵庫と食事: 同じ食品が重なっていないかを見ます。賞味期限が切れたものが増えていないかも確かめます。
  2. 薬と通院: 飲み忘れの薬がたまっていないかを確かめます。かかりつけの医療機関の名前も聞いておきましょう。
  3. 郵便物とお金: 郵便物や請求書がたまっていないかを見ます。特殊詐欺の被害は、65歳以上の人が全体の半分ほどを占めています(2025年)。(出典:警察庁)不審な電話の相談先として、警察相談専用電話「#9110」も伝えておくと安心です。
  4. 家の中の段差と暑さ・寒さ: 高齢者の転倒は、家の中でも多く起きています。東京消防庁の管内では2024年に、高齢者7万3,500人が「ころぶ」事故で運ばれました。そのうち4万2,180人は、住まいで起きた事故です。(出典:東京消防庁)つまずきやすい場所や、エアコンの使い方も見ておきましょう。熱中症も、住まいの中で多く起きています。2025年5〜9月に熱中症で救急搬送された人のうち、65歳以上が57.1%でした。発生場所は、住居が38.1%で最も多くなっています。(出典:総務省消防庁)
  5. 連絡先と合鍵: 近所の人や親の友人、かかりつけ医の連絡先を、親と子の両方で控えます。「救急医療情報キット」を配る市区町村もあります。緊急連絡先や持病を書いた紙を、冷蔵庫に入れておくものです。合鍵を誰に預けるかも話しておきましょう。
  6. 親のこれからの希望: これからどこで、どう暮らしたいかを聞いておきます。急がずに、少しずつで大丈夫です。

離れて暮らす親と連絡が取れないときの対処の順番

いつもの時間に電話に出ないと、悪いことばかり考えてしまいますよね。まずは落ち着いて、次の順番で確かめましょう。

  1. 時間を置いて、もう一度連絡する: 出かけていることや、充電切れもよくあります。電話とメッセージの両方で連絡してみましょう。
  2. 近所の人や親の友人に様子を見てもらう: 連絡先を交換しておいた人に、訪ねてもらえないか頼みます。
  3. 見守りサービスの記録を確かめる: センサーやアプリの記録を見ます。駆けつけのあるサービスなら、窓口に頼みます。
  4. 地域の相談先に相談する: 親の住む地域の地域包括支援センターや、民生委員に相談します。
  5. 急を要すると感じたら、ためらわずに通報する: 倒れているかもしれないときは、119番や110番に連絡しましょう。

いざというときに慌てないよう、この順番と連絡先を決めておきましょう。親が元気なうちに、一緒に話しておくと安心です。

一人で抱えないための相談先|遠距離介護に備える

親のことを相談できる家族が近くにいない方もいるでしょう。独身の方や一人っ子の方は、親のことを一人で背負いがちです。けれども、頼れる窓口は地域にあります。

親の住む地域の地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、市町村が設置している高齢者の総合相談の窓口です。高齢者本人だけでなく、家族からの相談も受けています。

相談するのは、あなたの住む地域ではなく、親の住む地域のセンターです。担当のセンターは、住んでいる住所によって決まっています(例:川崎市の案内)。電話での相談から始めて大丈夫です。介護が始まる前から顔をつないでおくと、いざというときに頼みやすくなります。

一人暮らしが難しくなってきたサイン

親が一人暮らしを続けられるかは、年齢では決まりません。暮らしの様子が変わってきたかどうかで考えます。次のような変化が目安です。

  • 火の消し忘れが増えた
  • 薬の飲み忘れが目立つ
  • 同じ話をくり返す、約束を忘れることが増えた
  • 家の中で転んだ
  • 食事や入浴がおろそかになってきた
  • 郵便物やお金の管理が難しくなってきた

もの忘れなどの変化に気づいたら、一人で判断しなくて大丈夫です。地域包括支援センターや、親のかかりつけ医に相談しましょう。

介護が始まったら|遠距離介護の最初の一歩

介護が必要になってきたら、まずは介護保険の「要介護認定」を申請します。申請の窓口は、親の住む市区町村です。地域包括支援センターなどで、手続きを代行している場合もあります。(出典:厚生労働省)

認定を受けると、ケアマネジャーと一緒に介護の計画を立てられます。離れていても、介護サービスを組み合わせて親を支える形を「遠距離介護」といいます。

仕事をしている方は、介護休業と介護休暇も使えます。介護休業は、対象の家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取れます。厚生労働省は、この期間を「準備期間」と捉えるよう呼びかけています。自分で介護をするための休みではありません。仕事と介護を両立できる体制を整えるための期間です。

2025年4月からは、制度の案内を個別に受けられるようになりました。介護に直面したことを、勤め先に申し出た場合です。会社は、休業などを使う意向があるかも確かめます。(出典:厚生労働省)

あわせて読みたい:親の介護をしながらできる仕事12選|続けやすい働き方と使える制度

あわせて読みたい:一人っ子が親の介護を独身で担うとき|5つの不安と一人で抱えない対処法

まとめ

離れて暮らす親の見守りは、いくつかの方法を組み合わせるのが続けやすい形です。異変の知らせを受ける人と、駆けつける人を決めておくと安心です。

親が納得できる形で、お互いの無事を知らせ合う仕組みにすれば、無理なく続きます。困ったときは一人で抱えず、親の住む地域の相談先を頼りましょう。

まずは、次の電話の曜日と時間を、親と一緒に決めることから始めてみましょう。

関連記事:親の介護でメンタルがやられる原因と限界のサイン|負担を減らす対処法

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