終活は、50代から始めても早すぎません。体力と判断する力があるうちに、自分のペースで進められるからです。
50代のうちは、連絡先やお金の一覧づくりと、モノの整理から始めれば十分です。契約のように、今すぐ決めなくていいこともあります。
この記事では、50代の終活で今やることを7つの一覧にまとめました。急がなくていいことや、しないほうがいいことも紹介します。独身・おひとりさまの人が考えておきたいことや、かかる費用もまとめています。
50代からの終活は早すぎない|始めどきといわれる3つの理由
終活を何歳から始めるという決まりはありません。60代や70代から始めても、遅すぎることはありません。
あわせて読みたい:終活とは|何から始めるかがわかるやること10項目と始める時期
ただ、50代は終活の始めどきといわれます。理由は、次の3つです。

体力と気力があるうちに、自分のペースで進められる
終活には、体を動かす作業も含まれます。押し入れの片づけや、たまった書類の確認などです。
50代なら、週末に少しずつ進める体力と気力があります。急がずに、自分のペースで続けられるのが強みです。
判断する力が十分なうちに、考えをまとめられる
お金や医療、財産の行き先は、自分で判断できるうちに考えておきたいものです。
たとえば遺言書は、書くときに内容を判断する力が必要だと法律で決まっています。(出典:e-Gov法令検索)
考えを形にできるのは、判断する力が十分なうちです。50代は、時間をかけて考えをまとめられる時期といえます。
親のことや定年が、考えるきっかけになる
50代は、親の介護や相続に向き合い始める人もいる年代です。手続きの大変さを知って、自分の準備を考える人もいます。
定年や、これからの働き方が見えてくる時期でもあります。老後の暮らしを、少しずつ思い描けるようになります。
また、50歳以上の人に届くねんきん定期便には、年金の見込額が載っています。老後のお金を、具体的な数字で考えやすくなります。
50代の終活で今やること7つ【一覧】
50代の終活で今やることは、次の7つです。連絡先とお金の一覧づくりから、モノの整理や健康の確認まであります。

| やること | ポイント | 始めやすさ |
|---|---|---|
| 1. 連絡先とお金の一覧をノートにまとめる | 暗証番号は書かず、置き場所を伝える | すぐできる |
| 2. 年金の見込額を確かめる | ねんきん定期便やねんきんネットを使う | すぐできる |
| 3. スマホとネットの契約を整理する | サービス名とIDの一覧をつくる | すぐできる |
| 4. モノを少しずつ減らす | 1日1か所ずつ・捨てすぎない | 少しずつ続ける |
| 5. 健康診断を受けて医療の希望を考える | 健診・がん検診と人生会議 | 年に1回 |
| 6. 頼れる人とのつながりを保つ | 家族以外の連絡先も考える | ふだんから |
| 7. これからの住まいと実家のことを考える | 持ち家・賃貸・実家の名義 | 時間をかけて |
上から順番に進めなくてもかまいません。始めやすいものから手をつけましょう。
1. 連絡先とお金の一覧をノートにまとめる
最初に取りかかりやすいのが、ノートへの書き出しです。もしものときに、周りの人が困らない情報を残します。
50代でまず書いておきたいのは、次の4つです。
- 連絡先: 親族や友人の連絡先、かかりつけの病院
- お金: 預貯金や保険、年金、ローンの一覧
- スマホとネット: 使っているサービスの一覧(3で紹介します)
- 希望: 医療や葬儀について、今の時点で考えていること
銀行の暗証番号は、ノートに書かないほうが安心です。金融庁も、暗証番号のメモをカードと一緒に保管しないよう呼びかけています。(出典:金融庁)
ノートは、市販のエンディングノートでかまいません。エンディングノートを無料で配っている市区町村もあります。お住まいの地域で確かめてみましょう。
なお、エンディングノートは遺言書の代わりにはなりません。遺言書は、法律で決められた方式で書く必要があるからです。(出典:e-Gov法令検索)
書いたノートは、置き場所を信頼できる人に伝えておきましょう。年に1回、誕生日などに見直すと続けやすくなります。
あわせて読みたい:エンディングノートの書き方|書く10項目と記入例・注意点
2. 年金の見込額を確かめて老後のお金を見通す
老後のお金を考えるときは、まず年金の見込額を確かめましょう。
50歳以上の人のねんきん定期便には、65歳から受け取る年金の見込額が載っています。60歳まで今の年金制度に加入し続けた場合の額です。そのため、働き方が変わると見込額も変わります。(出典:日本年金機構)
インターネットの「ねんきんネット」では、条件を変えて見込額を試算することもできます。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」は、登録しなくても使えます。
見込額と、今の暮らしにかかるお金を並べてみましょう。老後に向けて、どのくらい備えておきたいかが見えてきます。
使っていない銀行口座やクレジットカードは、今のうちに整理しておくと安心です。口座が少ないほど、自分も周りの人もお金の全体をつかみやすくなります。
3. スマホとネットの契約を整理する|デジタル終活
ネット銀行や、動画などの定額サービス(サブスク)は、本人以外が気づきにくいものです。スマホやパソコンの中の情報を整理しておくことを、「デジタル終活」といいます。
国民生活センターも、ネット上の資産やサブスクの契約に注意を呼びかけています。サービス名やID、パスワードを整理しておくようにすすめています。整理には、エンディングノートを使う方法も紹介されています。(出典:国民生活センター)
パスワードを書き残すときは、ノートの置き場所に気をつけましょう。家族や信頼できる人だけが分かる場所にしておくと安心です。
使っていないサブスクは、この機会に解約しておきましょう。毎月の支出も減らせます。
4. モノを少しずつ減らす|50代からの断捨離
モノの整理は、体力のある50代のうちに少しずつ進めるのがおすすめです。年齢を重ねるほど、重いものを運び出すのが大変になります。
一度に家じゅうを片づけようとすると、なかなか続きません。「今日は引き出し1つ」「今週は玄関」のように、場所を区切って進めるのが続けるコツです。
ただし、捨てすぎには気をつけてください。次のようなものは、急いで処分しないほうが安心です。
- 思い出の品: 写真や手紙は、一度捨てると取り戻せません
- 大切な書類: 年金や保険、不動産、税金に関わる書類
- 迷っているもの: 「保留」の箱に入れて、時間をおいてから決めます
ミニマリストのように、一気に持ちものを減らす必要はありません。暮らしやすさを保ちながら、少しずつ減らしていきましょう。
5. 健康診断を受けて医療の希望を考える
自分の体の状態を知っておくことも、終活の一部です。
40〜74歳の人は、加入している医療保険の特定健診(特定健康診査)の対象です。(出典:厚生労働省)会社の健康診断の結果で、特定健診に代えられる場合もあります。
市区町村のがん検診も、50代で対象になるものが多くあります。国の指針では、胃がん検診は50歳以上で2年に1回です。大腸がん検診は、40歳以上で年に1回とされています。(出典:厚生労働省)
あわせて、もしものときに望む医療やケアも考えておきましょう。前もって考え、信頼できる人や医療・介護の人と話し合っておく取り組みがあります。厚生労働省は、これを「人生会議」と呼んでいます。
どんな医療を選ぶかに、正解はありません。考えが変わったら、そのつど話し合えば大丈夫です。
6. 頼れる人とのつながりを保つ
もしものときに、連絡を頼める人がいると心強いものです。家族に限らず、友人や近所の人、趣味の仲間なども考えてみましょう。
50代は、仕事や親のことで忙しく、人付き合いが減ったと感じる人もいる時期です。今のうちから、無理のない範囲でつながりを保っておきましょう。
人付き合いが気になる人は、こちらの記事も参考にしてください。
親の介護で困ったときは、親が住む地域の地域包括支援センターに相談できます。高齢者の暮らしや介護について、家族からの相談も受けている窓口です。
7. これからの住まいと実家のことを考える
老後をどこで暮らすかも、50代のうちに考え始めたいことです。持ち家なら、住み続けるための修理や、段差の手直しを考えておきます。賃貸なら、更新や住み替えをどうするかを考えておきましょう。
親が持ち家に住んでいる場合は、実家のこれからも話題にしておきたいところです。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請が必要です。(出典:法務省)
親が元気なうちに、実家をどうしたいかを聞いておくと、あとで迷わずに済みます。
あわせて読みたい:50代独身女性の実家暮らしと老後|親が元気なうちに始めたい6つの備え
50代の終活で急がなくていいこと・しないほうがいいこと
50代の終活は、すべてを今決める必要はありません。今やることと、時間をかけて決めればいいことを分けて考えましょう。

契約は情報を集めておき、決めるのは暮らしが固まってから
終活では、さまざまな契約が話題になります。たとえば、次のようなものです。
- 入院や施設に入るときの身元保証のサービス
- 判断する力が落ちたときに備える任意後見契約
- 亡くなった後の手続きを頼む死後事務委任契約
- 葬儀の生前契約や、お墓の購入
50代のうちは、どんな仕組みがあるかを知っておけば十分です。これから健康や仕事、住まい、人間関係が変わることもあるからです。
民間のサービスには、前もってまとまったお金(預託金)を預けるものもあります。国の調査では、契約書に解約の決まりがない例なども見つかっています。(出典:総務省)
一方で、遺言書は書いた後でも、いつでも書き直せます。(出典:e-Gov法令検索)
財産の行き先を早めに決めておきたい人は、50代で書いてもかまいません。
契約を考える時期は、人それぞれです。判断する力が十分なうちに、暮らしの見通しが立ってきたら検討しましょう。
あわせて読みたい:おひとりさまの終活でやるべき7つのこと|頼れる家族がいなくても安心
50代の終活でしないほうがいいこと3つ
終活を続けるために、避けておきたいことが3つあります。
- 一度に全部やろうとする: 完璧を目指すと疲れて続きません。できることから少しずつ進めます
- 大切なものまで一気に捨てる: 思い出の品や書類は、急いで処分しないようにします
- 勧誘されて、その場で契約する: 不安になる話をされても、すぐには決めないようにします
契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話しましょう。近くの消費生活センターなどを案内してもらえます。
また、ノートの置き場所や、もしものときの希望は、信頼できる人に伝えておきましょう。ひとりで抱えこまないことも、終活を続けるコツです。
独身・おひとりさまの50代が終活で考えておきたいこと
独身やおひとりさまでも、50代の終活でやることは基本的に同じです。少し違うのは、もしものときに頼む人を自分で考えておく点です。
2025年の時点で、65歳以上でひとり暮らしをしている女性は約4人に1人です。男性は約5人に1人でした。(出典:総務省)50代の女性のなかには、早めに自分の終活を考え始める人もいます。

もしものときに頼める人を考えておく
急な入院などのときに、連絡を頼める人を考えておきましょう。きょうだいや親戚、友人、知人などが候補になります。
50代のうちは、「誰に頼めそうか」を考えておくだけでも十分です。頼みたい人がいれば、元気なうちに話をしておくと安心です。
入院のときに保証人がいないと、不安に思う人もいるかもしれません。身元保証人がいないことだけを理由に入院を断るのは、医師法に反するとされています。(出典:厚生労働省)
あわせて読みたい:入院の保証人がいないときの対処法5つ|相談先と元気なうちの備え
財産の行き先は遺言書がないと法律で決まる
配偶者や子どもがいない場合、財産は法律で決まった相続人に引き継がれます。親が亡くなっていれば、きょうだいや、おい・めいが相続人になることもあります。
相続人がいないときは、家庭裁判所が選んだ人が財産を整理します。整理した後に残った財産は、国のものになります。特別な縁のあった人に分けられる場合もあります。(出典:裁判所)
お世話になった人や、応援したい団体に財産を渡したい人もいるでしょう。その場合は、遺言書で決めておく必要があります。
誰が相続人になるかは、家族の状況によって違います。気になる人は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
50代の終活にかかる費用
50代で今やることは、ほとんど費用がかかりません。ノートは、市販のものや市区町村が配るものを使えます。年金の見込額も、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。
費用がかかるのは、主に次のような手続きや契約をするときです。
- 遺言書を法務局に預ける: 自筆証書遺言書保管制度は1件3,900円(2026年10月時点)
- 公正証書をつくる: 公証役場で遺言などをつくると、内容に応じた手数料がかかります
- 専門家や民間のサービスに頼む: 事務所やサービスごとに金額が違います
民間のサービスを使うときは、金額だけで選ばないようにしましょう。契約の前に、何が含まれているかを書面で確かめましょう。
まとめ
終活は、50代から始めても早すぎません。体力と判断する力があるうちに、自分のペースで進められます。
今やることは、連絡先とお金の一覧づくりや、モノの整理、健康の確認などです。契約は情報を集めておき、暮らしの見通しが立ってから決めれば大丈夫です。
まずは、ねんきん定期便を手元に出してみましょう。年金の見込額と連絡先、お金の一覧をノートに書き出すところから始めてみてください。
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