おひとりさまの終活でやるべき7つのこと|頼れる家族がいなくても安心

おひとりさまの終活とは、家族が担ってきた役目の頼み先を決めておくことです。入院の手続きやお金の管理、亡くなった後の手続きなどを、元気なうちに準備します。

頼れる家族がいなくても、契約や公的な窓口を使えば準備できます。ひとつずつ進めれば大丈夫です。

この記事では、おひとりさまの終活でやるべき7つのことを早見表にまとめました。生きているあいだの備えと、亡くなった後の備えに分けて紹介します。かかる費用の目安や、自治体などの相談先もあわせて確かめましょう。

おひとりさまの終活とは|家族に頼んできたことを元気なうちに決めておくこと

終活は、人生の終わりに向けて準備をしておく活動です。おひとりさまの場合は、家族に頼んできたことを誰に任せるかが中心になります。まずは、終活が必要な理由と、始める時期を確かめましょう。

日中の自宅の本棚の前で、アルバムを手に取って眺める60代の女性

おひとりさまに終活が必要な理由

入院や介護、亡くなった後には、家族が担ってきた手続きがたくさんあるからです。入院のときの緊急連絡先や、判断する力が落ちたときのお金の管理もそのひとつです。亡くなった後の葬儀や、住まいの片づけもあります。

頼れる家族がいないと、こうした役目を引き受ける人がいません。だからこそ、元気なうちに頼む人と方法を決めておくと安心です。

ここでいう「おひとりさま」は、結婚していない独身の人だけではありません。配偶者と死別した人や離婚した人、子どもがいない人も含みます。子どもやきょうだいが遠くに住んでいる人もいます。親族が高齢で、頼みにくい人も同じです。

「身寄りなし」「天涯孤独」「独り身」「お一人様」なども、ほぼ同じ意味で使われます。どの言葉で調べた人にも、この記事の内容は当てはまります。

65歳以上でひとり暮らしをしている人は、2025年に約815万人でした。男性の約5人に1人、女性の約4人に1人にあたります。(出典:総務省)

女性のほうが、ひとり暮らしの割合は高くなっています。女性のひとり暮らしでは、自分のこととして終活を考え始める人もいます。

家族がいる人も、いずれひとりになることがあります。おひとりさまの終活は特別なものではありません。準備する中身が、少し違うだけです。

あわせて読みたい:終活とは|何から始めるかがわかるやること10項目と始める時期

始めるのは判断する力があるうち

終活を始める年齢に、決まりはありません。ただし、任意後見や遺言などは、判断する力があるうちでないとできません。病気やけがは、いつ起こるかわかりません。思い立ったときが始めどきです。

40代・50代のうちは、連絡先やお金の情報の整理から始めると無理がありません。契約については、情報を整理したあとで、必要を感じたときに考えれば大丈夫です。

70代・80代から始めても、遅すぎることはありません。今の自分にできることから、ひとつずつ進めましょう。

あわせて読みたい:終活は50代からが始めどき|今やること7つと急がなくていいこと

おひとりさまの終活でやるべき7つのこと【早見表】

おひとりさまの終活でやるべきことは、全部で7つです。生きているあいだの備えが4つ、亡くなった後の備えが3つあります。まずは全体を一覧で確かめましょう。

やること備える場面主な方法・契約相談先
1. 連絡先・お金・希望をエンディングノートにまとめるすべての場面の土台エンディングノート自分でできる
2. 見守りと緊急連絡先を決めておく急な体調の変化市区町村の見守り/友人・知人との約束市区町村/地域包括支援センター
3. 入院・施設入所に備えて身元保証の頼み先を考える入院・施設に入るとき病院への相談/身元保証のサービス病院の相談窓口/地域包括支援センター
4. 判断する力が落ちたときに備える認知症などで判断が難しくなったとき財産管理等委任契約/任意後見契約/医療の希望を伝える公証役場/社会福祉協議会/専門家
5. 葬儀・納骨の希望を決めて頼み先を用意する亡くなった直後葬儀の生前契約/死後事務委任契約葬儀社/専門家
6. 亡くなった後の手続きを頼んでおく亡くなった後の手続き・片づけ死後事務委任契約専門家/社会福祉協議会
7. 財産の行き先を遺言書で決めておく財産を渡す相手公正証書遺言/自筆証書遺言公証役場/法務局/専門家

1〜4は、元気なうちから役に立つ備えです。5〜7は、亡くなった後に自分の希望をかなえるための備えです。次の章から、順に紹介します。

生きているあいだの備え|おひとりさまの終活でやること1〜4

まずは、生きているあいだの備えです。急な入院や、判断する力が落ちたときに困らないようにしておきます。どれも、元気なうちだからこそ進めやすいものです。

明るい病院の受付カウンターで、診察券を差し出す60代の男性の横顔と手元

1. 連絡先・お金・希望をエンディングノートにまとめる

最初にやりたいのは、自分の情報を1冊のノートにまとめることです。頼む人が決まっていても、情報がなければ動けません。終活のために使うこうしたノートを、エンディングノートといいます。

おひとりさまが書いておきたいのは、次の4つです。

  • 連絡先: もしものときに知らせてほしい友人・知人、かかりつけ医、持病や飲んでいる薬
  • お金: 預貯金・保険・年金・持ち家などの一覧と、通帳の置き場所(暗証番号は書かない)
  • デジタルの契約: スマートフォン、ネット銀行、月額で払っているサービス(サブスク)
  • 希望: 医療や介護、葬儀、ペットのこと

書いたノートの置き場所は、信頼できる人に伝えておきましょう。見つけてもらえなければ、せっかくの情報も役に立ちません。

エンディングノートは、市区町村が無料で配っていることもあります。たとえば仙台市では、終活相談窓口や区役所などで無料で配布しています。

なお、エンディングノートには、遺言書のような法的な効力はありません。(出典:船橋市)財産の行き先を決めるときは、遺言書を用意します。遺言書については、7で紹介します。

あわせて読みたい:エンディングノートの書き方|書く10項目と記入例・注意点

2. 見守りと緊急連絡先を決めておく

ひとり暮らしでは、急に体調を崩したときに気づいてもらえる仕組みがあると安心です。元気なうちに、見守りと緊急連絡先を決めておきましょう。

主な方法は、次の3つです。

  • 市区町村の見守り: 安否確認や、配食と見守りを組み合わせたサービスがあります
  • 民間の見守りサービス: センサーや定期的な連絡で、暮らしの様子を確かめます
  • 友人・知人との約束: 「連絡がつかないときは様子を見に行く」などを、お互いに決めておきます

市区町村の見守りサービスの内容は、地域によって違います。お住まいの市区町村で確かめましょう。

お住まいの地域の地域包括支援センターの場所も、元気なうちに確かめておきましょう。高齢者の暮らしや介護のことを、幅広く相談できる窓口です。

3. 入院・施設入所に備えて身元保証の頼み先を考える

入院や施設に入るときは、身元保証人や緊急連絡先を求められることが多くあります。病院が身元保証人に求める役割は、主に次のようなものです。

  • 緊急のときの連絡先になる
  • 入院の計画について説明を受ける
  • 入院中に必要なものをそろえる
  • 入院費などの支払いにかかわる
  • 退院のときの手続きを手伝う
  • 亡くなったときに遺体や遺品を引き取る

一方で、手術などの医療行為に同意する権限は、身元保証人にはないと考えられています。医療行為への同意は、本人にしかできないものだからです。

また、身元保証人がいないことだけを理由に入院を断ることは、認められていません。国が医療機関に示している考え方です。(出典:厚生労働省)

介護保険施設でも、身元保証人がいないことは、入所を断る正当な理由になりません。(出典:厚生労働省)

とはいえ、いざというときに慌てないよう、頼み先を考えておくと安心です。主な頼み先は次のとおりです。

  • 友人・知人に、緊急連絡先だけをお願いしておく
  • 入院先の病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)に相談する
  • 身元保証などを引き受ける民間のサービスを利用する

民間のサービスを選ぶときの確認点は、この記事の後半で紹介します。

あわせて読みたい:入院の保証人がいないときの対処法5つ|相談先と元気なうちの備え

4. 判断する力が落ちたときに備える|お金の管理と医療の希望

認知症などで判断する力が落ちると、お金の管理や契約がひとりでは難しくなります。家族がいれば手伝ってもらえることも、おひとりさまは頼む人を決めておく必要があります。

お金の管理を頼む契約には、主に次の2つがあります。

  • 財産管理等委任契約: 体が不自由になったときなどに、支払いや手続きを頼む契約です
  • 任意後見契約: 判断する力が落ちた後のことを、元気なうちに頼んでおく契約です

任意後見契約は、公証人が作る公正証書で結びます。判断する力が落ちた後、家庭裁判所が任意後見監督人を選ぶと、契約の効力が生じます。

実際には、2つの契約を同時に結ぶことが多いとされています。判断する力があるうちは委任契約で支えてもらいます。判断する力が落ちた後は、任意後見契約に切り替える形です。(出典:日本公証人連合会)

どの契約が合うかは、人によって違います。公証役場や専門家に相談しながら決めましょう。

なお、2026年6月には民法が改正され、成年後見の仕組みが見直されることになりました。新しい仕組みは、遅くとも2028年12月までに始まります(2026年10月時点)。

日々のお金の管理に不安があるときは、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業も使えます。福祉サービスの利用の手続きや、日々の支払いなどを手伝ってもらえる事業です。

医療や介護の希望も、元気なうちに考えておきましょう。もしものときに望む医療やケアを、前もって考えておく取り組みがあります。身近な信頼できる人や、医療・ケアの担当者と繰り返し話し合い、共有しておくものです。国はこの取り組みを「人生会議」と呼んでいます。

おひとりさまの場合は、話し合った内容をエンディングノートにも書いておきましょう。誰が見ても、希望が伝わりやすくなります。

あわせて読みたい:身寄りのない高齢者の支援制度まとめ|相談先と今からできる備え

亡くなった後の備え|おひとりさまの終活でやること5〜7

亡くなった後の手続きは、自分ではできません。誰に何を頼むかを、生きているうちに決めておきましょう。ここでは、葬儀・手続き・財産の3つの備えを紹介します。

日中のリビングで、ひざの上の猫をなでながらくつろぐ60代の男性

5. 葬儀・納骨の希望を決めて頼み先を用意する

まずは、どんな葬儀にしたいか、どこに納骨してほしいかを考えておきます。亡くなったことを知らせてほしい人の一覧も、あわせて用意しておきましょう。

葬儀の形には、火葬だけを行う直葬や、身近な人だけで行う家族葬などがあります。どれがよいかは、人によって違います。自分が望む形を書き出してみましょう。

ただし、希望を書いておくだけでは、実行してくれる人がいません。葬儀社と生前に契約を結んでおく方法があります。次に紹介する死後事務委任契約で、葬儀を任せる人を決めておく方法もあります。

お墓を継ぐ人がいなくても、選べる形はあります。お寺や霊園が供養や管理を続けてくれる、永代供養などです。

6. 亡くなった後の手続きを死後事務委任契約で頼んでおく

亡くなった後の手続きは、死後事務委任契約で頼んでおけます。死後事務委任契約とは、亡くなった後の手続きを、生前に第三者に頼んでおく契約です。

国のガイドラインでは、死後の手続きの例として、次のようなものが挙げられています。

  • 亡くなったことの確認と、関係する人への連絡
  • 葬儀や火葬、納骨
  • 病院などの費用の精算と、病室や家財の整理
  • 役所への届け出
  • 電気・ガス・水道や携帯電話などの解約
  • 賃貸住宅の解約と、残された家財の処分

ただし、契約の内容によっては、頼めない手続きもあります。何をどこまで任せるかを、契約の前に確かめておきましょう。ペットを飼っている人は、引き取ってくれる人も決めておくと安心です。

頼む相手には、友人・知人や専門家、民間のサービスなどがあります。専門家には、弁護士・司法書士・行政書士などがいます。地域によっては、社会福祉協議会が引き受けていることもあります。

死後事務委任契約で頼めるのは、手続きです。財産を誰に渡すかは、遺言書で決めます。2つは役割が違うため、あわせて準備しておくと安心です。

2026年には社会福祉法が改正されました。身寄りのない人の死後の手続きを支える事業が、社会福祉の事業として位置づけられます。遅くとも2028年6月までに始まる予定です(2026年10月時点)。

7. 財産の行き先を遺言書で決めておく

遺言書がないと、財産は法律で決まった相続人に渡ります。配偶者や子ども、親がいない場合でも、きょうだいが相続人になることがあります。きょうだいがすでに亡くなっていれば、その子ども(おい・めい)が相続人になります。(出典:国税庁)

相続人がいない場合は、家庭裁判所が選んだ清算人が財産を整理します。整理した後に残った財産は、最終的に国のものになります。療養や看護に努めた人など、特に縁が深かった人に分けられる場合もあります。(出典:裁判所)

お世話になった人や、応援したい団体に財産を渡したいときは、遺言書で決めておきましょう。遺言で財産を渡すことを、遺贈といいます。

遺言書には、主に次の2つの形があります。

  • 公正証書遺言: 公証役場で、公証人に作ってもらう遺言書
  • 自筆証書遺言: 自分で書く遺言書で、法務局に預けることもできる

自筆証書遺言書保管制度で法務局に預けると、家庭裁判所の確認(検認)が要りません。亡くなったことがわかったときに、指定した人へ通知が届く仕組みもあります。ただし、法務局は遺言の内容が有効かどうかまでは確かめません。

誰が相続人になるかや、遺言書に何を書くかは、人によって違います。公証役場や専門家に相談しましょう。

おひとりさまの終活にかかる費用の目安

自分でできる準備には、ほとんど費用がかかりません。費用がかかるのは、契約を結ぶときの手数料や、専門家・民間のサービスに頼むときです。主な目安は次のとおりです(2026年10月時点)。

準備費用の目安確認先
エンディングノート無料のものから市販のものまである市区町村/書店
自筆証書遺言を法務局に預ける1件3,900円法務局
公正証書を作る(遺言・任意後見契約)財産の額や内容によって変わる公証役場
日常生活自立支援事業訪問1回あたり平均1,200円社会福祉協議会
専門家に契約書の作成を頼む事務所によって違う弁護士・司法書士・行政書士
民間の身元保証・死後事務のサービス内容によって大きく違い、前もってお金を預ける場合もある各サービス

出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度のご案内」/厚生労働省「日常生活自立支援事業」

民間のサービスは金額だけで比べず、何が含まれているかを書面で確かめましょう。葬儀の費用も、形や地域で大きく変わります。前もって見積もりを取っておくと安心です。

費用が心配なときは、まず公的な窓口に相談してみましょう。社会福祉協議会などで、使える支援を教えてもらえることもあります。

おひとりさまの終活の相談先|自治体・社会福祉協議会の終活支援

おひとりさまの終活は、ひとりで抱え込まずに、相談しながら進められます。ここでは、公的な窓口から順に紹介します。

まずは地域包括支援センターと社会福祉協議会へ

相談先に迷ったら、まずはお住まいの地域の地域包括支援センターに相談しましょう。内容に応じて、ほかの窓口も紹介してもらえます。

相談先相談できること
地域包括支援センター暮らしや介護、見守りなど高齢者の困りごと全般
社会福祉協議会お金の管理の手伝い(日常生活自立支援事業)。地域によっては終活の相談や、亡くなった後の手続きの支援
公証役場公正証書遺言や任意後見契約の作成
法務局自筆証書遺言の保管
弁護士・司法書士・行政書士遺言書や、委任契約の内容の相談・作成
消費生活センター(188)終活サービスの契約トラブル

自治体や社会福祉協議会の終活支援

おひとりさま向けの終活支援事業を行う、市区町村や社会福祉協議会もあります。たとえば、終活の相談窓口や、エンディングノートの配布、終活の講座(セミナー)などです。

神奈川県横須賀市には、「わたしの終活登録」があります。緊急連絡先や、エンディングノート・遺言書の保管場所などを、市に登録できる仕組みです。登録した内容は、もしものときに病院や本人が指定した人などへ伝えられます。

福岡市社会福祉協議会の「終活サポートセンター」では、終活の相談に無料で応じています。身寄りがない人の葬儀・納骨・家財の処分などを引き受ける、死後事務の事業も行っています。

内容は地域によって違います。お住まいの市区町村や社会福祉協議会で確かめましょう。

国も、支える仕組みを広げようとしています。2026年には社会福祉法が改正されました。身寄りのない人の暮らしや入院の手続きを支える事業が、社会福祉の事業になります。亡くなった後の手続きの支援も含まれ、相談の体制も整えられます。(出典:厚生労働省)

民間の終活サービスを選ぶときの確認点

身元保証や死後の手続きなどを、まとめて引き受ける民間のサービスもあります。国は2024年、こうした事業者向けのガイドラインを示しました。利用する人が契約の前に確かめるチェックリストもあわせて公開されています。

チェックリストのうち、特に確かめておきたいのは次の3つです。

  • 契約の説明: 大切な内容を書面(重要事項説明書)で説明してくれるか
  • 預けるお金: 前もって預けるお金(預託金)の額と、その根拠や管理の方法がはっきりしているか
  • 解約のとき: 解約したときに、お金がどう返ってくるか

契約は急がずに進めましょう。気になる点は、契約の前に消費生活センターなどへ相談すると安心です。

まとめ

おひとりさまの終活は、家族が担ってきた役目の頼み先を決めておくことです。生きているあいだの備えが4つ、亡くなった後の備えが3つあります。すべてを一度に進める必要はありません。

頼れる家族がいなくても、契約や公的な窓口を使えば、ひとりでも安心して備えられます。迷ったときは、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談しましょう。

まずは、緊急連絡先とお金の一覧を、ノートに書き出してみましょう。

独身なび編集部のX(@dokushin_navi)では、暮らしに役立つ情報をお届けしています。

LINE友だち追加

この記事を書いた人

独身なび編集部

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

LINE友だち追加
目次