保証人がいなくても、入院はできます。保証人がいないことだけを理由に、入院を断ることは認められていません。国がそう示しています。
入院の書類に保証人の欄があって、戸惑うこともあるでしょう。そんなときも、病院の相談窓口に早めに伝えて、代わりの方法を相談すれば大丈夫です。
保証人を頼める人がいないのは、珍しいことではありません。ひとり暮らしの方や、家族が遠くに住んでいる方にも起こりえます。この記事では、入院や手術で保証人がいないときの対処法を5つ紹介します。病院が保証人に求める役割と代わりの方法、元気なうちにできる備えもまとめました。
保証人がいなくても入院はできる
入院の申込みで保証人を求められると、不安になりますよね。保証人がいないと入院できないのでは、と心配になる方も多いでしょう。一人暮らしの方や独身の方、おひとりさまの方から、よく聞かれる悩みです。まずは、保証人がいなくても入院できる理由を確かめましょう。

保証人がいないことだけで入院は断れない
結論から言うと、保証人がいないことだけを理由に、入院を断ることはできません。
国は2018年の厚生労働省の通知で、このことを医療機関に示しています。身元保証人などがいないことだけで入院を拒むのは、医師法に反するという考え方です。医師法では、正当な理由なく診察や治療を拒んではならないと定められています。
2019年には、国から医療機関などへガイドラインも示されました。介護保険の施設に入るときも、考え方は同じです。身元保証人がいないことは、入所を断る正当な理由に当たらないとされています。
それでも保証人を求められるのはなぜ
ただ、実際の入院の手続きでは、申込書や誓約書に保証人の欄があることが多いものです。
総務省の東北管区行政評価局は2017年、東北6県の37病院を調べました。すると、37病院すべてが入院のときに保証人を求めていました。(出典:総務省)
病院が困っているのは、保証人がいないことそのものではありません。入院費の支払いや緊急時の連絡など、保証人に任せていた役割を誰が担うかです。
役割ごとに、保証人がいなくても代わりの方法があります。だからこそ、保証人がいないことは隠さずに、早めに病院へ相談しましょう。
入院の保証人がいないときの対処法5つ
入院の保証人がいない場合は、次の5つの方法があります。ひとつだけでなく、組み合わせて使えます。
- 病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)に早めに伝える
- 入院費の支払い方法を病院と相談する
- 緊急連絡先だけでも頼める人を探す
- 地域包括支援センターや市区町村に相談する
- 身元保証サービス(保証人の代行)を利用する

病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)に早めに伝える
最初の一歩は、保証人がいないことを病院に伝えることです。入院が決まったら、できるだけ早めに伝えましょう。
病院には、入院や退院、お金の心配などを相談できる窓口を置いているところがあります。相談にのるのは、医療ソーシャルワーカーと呼ばれる相談員です。
医療ソーシャルワーカーは、入退院の支援やお金の相談などを担う専門職です。国の業務指針では、社会福祉士が担うことが想定されています。(出典:厚生労働省)
窓口の名前は「医療相談室」「患者支援センター」など、病院によって違います。わからないときは、受付で「入院のことで相談したい」と伝えてみましょう。
予定の入院なら、入院の前に保証人の扱いを確かめておくと安心です。保証人がいない場合にどうすればよいかは、病院によって違います。外来の受診や入院の説明のときに、聞いておきましょう。
入院費の支払い方法を病院と相談する
病院が保証人を求める大きな理由のひとつは、入院費の支払いです。連帯保証人は、本人が払えないときに代わりに支払う役割を負います。そのため、支払う力があることを示せれば、ほかの方法を認めてくれる病院もあります。
前の章で紹介した総務省の調べでは、次のような方法が挙げられています。
- 入院保証金(前もって預けるお金)を納める
- 支払いをクレジットカード払いにして、カード番号を登録する
- 病院と提携した保証会社を使う
総務省は、国立病院など27病院に、こうした方法も検討するよう求めました。ただし、これは2017年の東北の事例です。どの方法を使えるかは、病院によって違います。相談窓口で、保証人の代わりにできる方法がないか聞いてみましょう。
入院費が高くなりそうで心配な方もいるでしょう。医療費の自己負担には、「高額療養費制度」による上限があります。上限額は、年齢や所得によって決まります。マイナ保険証を使うと、窓口での支払いを上限額までにできます。支払いの見通しが立つと、病院とも相談しやすくなります。
緊急連絡先だけでも頼める人を探す|友人・知人や遠くの親族
保証人の役割のうち、緊急時の連絡先は、親族でなくても頼める場合があります。支払いの保証まで頼まなくても、連絡先だけなら頼みやすいものです。友人や知人など、家族以外の人にも声をかけてみましょう。遠くに住む親族でも、連絡先なら引き受けてもらえることがあります。引き受けてくれた人には、入院や退院の予定を自分からも伝えておきましょう。お互いに安心して過ごせます。
頼むときは、どんな役目なのかを病院に確かめてから伝えると安心です。連絡を受けるだけなのか、病院に来てほしいのかで、相手の負担は変わります。
誰に頼めるかの条件は、病院によって違います。同じ世帯の人でよいか、遠方の人でよいか、何人必要かも病院ごとに決まりがあります。仕事をしていない人や年金暮らしの人でよいかも同じです。入院の書類や相談窓口で確かめましょう。
連帯保証人を頼むときは、入院費の支払いの責任まで負う役割だと伝えて、了承を得ましょう。本人の了承なく、名前を借りて書くのはやめましょう。あとで大きなトラブルにつながります。
地域包括支援センターや市区町村に相談する
65歳以上の方なら、「地域包括支援センター」にも相談できます。市町村が設置する、高齢者の総合相談の窓口です。何から相談すればよいかわからない段階でも、まずは話を聞いてもらいましょう。退院した後の暮らしが心配なときも、相談先のひとつになります。
入院費の支払いが心配なときは、市区町村の「自立相談支援機関」に相談できます。生活の困りごとを受け止める窓口です。収入や貯金が少なく生活に困るときは、福祉事務所で「生活保護」の相談もできます。受けられるかどうかは、一人ひとりの状況によって変わります。
お金の管理や手続きの手伝いには、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」もあります。2026年の法改正で、入院の手続きなどを支える支援もこれから広がる予定です。
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身元保証サービス(保証人の代行)を利用する
民間には、入院のときの身元保証を有料で引き受ける事業者もあります。保証人の代行のほか、入院中の手続きや、亡くなった後の手続きまで頼めるところもあります。国は2024年、こうした事業者に向けたガイドラインを示しました。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」です。
料金やサービスの内容は、事業者によって大きく違います。前もってまとまったお金(預託金)を預ける契約もあります。2023年には総務省が事業者を調べています。契約の大事なことをまとめた書面(重要事項説明書)を作っている事業者は、少数でした。(出典:総務省)
契約する前に、次の点を書面で確かめておきましょう。
- サービスの内容と料金が、書面ではっきり示されているか
- 預託金の額と、そのお金の管理の方法がわかるか
- 解約するときの手続きと、お金の返し方が決まっているか
国は、事業者を選ぶときに使えるチェックリストも公開しています。契約で困ったときは、消費者ホットライン(188)に電話してみましょう。近くの消費生活センターにつながります。
入院が決まってから急いで契約すると、内容を比べる余裕がありません。契約するときは、ひとりで決めずに、地域包括支援センターなどにも相談してみましょう。身元保証サービスは、元気なうちに比べて選ぶものと考えておきましょう。
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病院が入院の保証人に求める6つの役割と代わりの方法
入院の保証人とは、入院の申込みのときに病院が求める人のことです。入院費の支払いや、緊急時の連絡などを引き受けます。頼める人がいないのに保証人を求められて、おかしいと感じる方もいるでしょう。
国が示したガイドラインは、病院が保証人に求める役割を主に6つに整理しています。役割ごとに、保証人がいなくても代わりの方法があります。

| 病院が求める役割 | 保証人がいないときの代わりの方法 |
|---|---|
| 緊急時の連絡先 | 友人や知人など、連絡先を頼める人がいるかを本人と確かめます。いないときは、緊急時の対応を本人と話し合っておきます |
| 入院計画の説明 | 本人にわかりやすく説明します。同席を望む人がいれば、本人の了承を得て説明できます |
| 入院中に必要なものの準備 | 病院でパジャマやタオル、洗面用具を買ったり借りたりします。有償のボランティアやレンタルも使えます |
| 入院費の支払い | 原則は本人が支払います。支払いが心配なときは、生活困窮や生活保護の相談窓口に相談します |
| 退院の支援 | 退院先や退院後の暮らしを本人と相談します。高齢の方は地域包括支援センターも相談先になります |
| 亡くなったときの引き取り | 親族などがいなければ、遺体の引き取りや火葬は市区町村が行います |
出典:厚生労働省の研究班「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」をもとに編集部作成
保証人がいなくても、これだけの代わりがあります。入院の手続きで困ったときは、どの役割が心配なのかを病院に聞いてみましょう。心配な点がわかれば、代わりの方法を一緒に考えやすくなります。
連帯保証人・身元保証人・身元引受人の違い
入院の書類では、連帯保証人・身元保証人・身元引受人など、いくつかの呼び方が使われます。一般に、連帯保証人は主に入院費の支払いを保証する人を指します。身元保証人や身元引受人は、緊急時の連絡や退院時の引き取りなどを頼まれがちです。
ただし、呼び方や頼まれる範囲は、病院によって違います。1人に両方の役割を求める病院もあります。書類に何と書かれているかを確かめ、わからないときは病院に聞きましょう。
書類を受け取ったら、署名する前に、どの欄が必ず書くところなのかも確かめておきましょう。空欄のままでよいか、代わりの書き方があるかを聞いておくと安心です。
成年後見人は入院費の保証人にはならない
成年後見制度は、判断する力が落ちた人を支える制度です。本人に代わって、お金の管理や契約をする人(成年後見人など)を立てます。成年後見人がいれば保証人はいらない、と考える方もいるかもしれません。
ただし、成年後見人は、入院費の保証人にはなりません。弁護士などの第三者が成年後見人になることもあります。その場合に保証人になるのは、一般に適切でないとガイドラインにあります。
一方で、成年後見人は、本人のお金から入院費を支払う手続きをします。医療や介護の契約も、成年後見人の役割です。保証人の代わりにはならなくても、役割の一部は担ってもらえます。
入院の保証人に困らないために元気なうちにできる備え
急な入院は、誰にでも起こりえます。元気なうちに少し準備しておくと、いざというときに落ち着いて動けます。すべてを一度にする必要はありません。できることから、ひとつずつ始めましょう。

入院に必要なものと連絡先を1か所にまとめておく
急に入院することになっても慌てないように、準備しておきましょう。次のものを、ひとつの袋や引き出しにまとめておくと安心です。
- マイナ保険証または資格確認書
- お薬手帳
- 緊急連絡先のメモ(親族でなく、友人や知人でも構いません)
- かかりつけの医療機関の名前と連絡先
- パジャマや洗面用具など、入院のときに持っていくもののメモ
従来の健康保険証は、2025年12月1日で有効期限が切れています。病院では、マイナ保険証か資格確認書を使います。(出典:厚生労働省)
まとめておけば、急な入院のときもすぐに持ち出せます。病院の相談員やまわりの人も、状況をつかみやすくなります。
緊急連絡先のメモは、冷蔵庫など目につく場所にも貼っておくと安心です。急に体調を崩したとき、まわりの人が見つけやすくなります。
医療やもしものときの希望を書き残しておく
保証人や家族がいないと、病院が本人の希望を知る手がかりが少なくなります。どんな医療やケアを受けたいかを、元気なうちに考えておきましょう。
厚生労働省は、こうした取り組みを「人生会議」と呼んで広めています。もしものときに望む医療やケアについて、前もって考える取り組みです。家族や医療・ケアのチームと繰り返し話し合い、共有しておきます。家族がいない方は、信頼できる友人やかかりつけ医と話しておくのもよいでしょう。
考えたことは、エンディングノートなどに書き残しておくと伝わりやすくなります。書いたノートの置き場所を、緊急連絡先のメモに書き添えておくのもよい方法です。
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頼れる相談先を元気なうちに見つけておく
お住まいの地域の地域包括支援センターの場所を、確かめておきましょう。困りごとがなくても一度相談しておくと、いざというときに頼みやすくなります。かかりつけ医を持っておくのも安心です。
将来に備える契約には、任意後見や身元保証サービスなどがあります。任意後見は、元気なうちに将来の後見人を決めておく制度です。頼みたいことを、契約で決めておきます。契約は、公証人が作る公正証書で結びます。どちらも、すぐに契約しなくても大丈夫です。どんな選択肢があるかを知っておくだけでも、安心につながります。
2026年6月には、社会福祉法が改正されました。頼れる身寄りがいない人の入院の手続きなどを支える支援が、新しく位置づけられます。始まるのは遅くとも2028年6月までの予定です(2026年10月時点)。(出典:厚生労働省)
まとめ
保証人がいなくても、入院はできます。保証人がいないことだけを理由に、入院を断ることは認められていません。困ったときは隠さずに、病院の相談窓口へ早めに伝えましょう。
病院が保証人に求める役割には、それぞれ代わりの方法があります。支払い方法の相談や、緊急連絡先を頼める人を探すことから始めてみましょう。
元気なうちに連絡先と希望をまとめておけば、ひとりでも落ち着いて入院を迎えられます。まずは、お薬手帳と緊急連絡先のメモを、ひとつの袋にまとめておきましょう。
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