毎日同じことの繰り返しで、「何のために過ごしているのだろう」と感じることはありませんか。楽しみにしている予定もなく、気づけば一日が終わっていきます。そんな毎日に、ふと心細くなる方もいるでしょう。
先にお伝えすると、生きがいがないと感じるのは、おかしなことではありません。生きがいは大きなものでなくてよく、小さな楽しみから少しずつ見つけていけます。
この記事では、生きがいがないと感じやすいきっかけを紹介します。あわせて、今日から始められる見つけ方もまとめました。40代・50代・60代の生きがいの持ち方や、つらさが続くときの相談先にも触れています。
生きがいがないと感じるのは、おかしなことではありません
生きがいがないと感じることは、誰にでも起こりうることです。暮らしや仕事、人との関わりが変わると、毎日の張り合いも変わります。以前は楽しかったことに、心が動かなくなる時期もあります。
周りの人が充実して見えると、自分だけが取り残されたように感じるかもしれません。けれど、同じように感じている人は少なくありません。

生きがいを感じていない人は、少なくありません
内閣府は2024年に、60歳以上の人へ生きがいについて尋ねています。生きがいを「あまり感じていない」「全く感じていない」人は、合わせて23.2%でした。およそ4人に1人の割合です。
ひとり暮らしの人などでは、この割合がさらに高くなっています。
| 回答した人 | 生きがいを感じている | 感じていない |
|---|---|---|
| 60歳以上の全体 | 74.8% | 23.2% |
| 配偶者やパートナーがいたことがない人 | 53.0% | 41.1% |
| ひとり暮らしの人 | 61.5% | 35.2% |
出典:内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」(2024年度)※「感じている」は「十分」「多少」感じている人の合計です。「感じていない」は「あまり」「全く」感じていない人の合計です。
生きがいを感じていないのは、決して珍しいことではありません。家族と暮らしていない人は、家族との時間とは別の場で楽しみを見つけていきます。その分、自分に合う楽しみを自由に選べるともいえます。
生きがいは、大きなものでなくていい
「生きがい(生き甲斐)」と聞くと、人生をかけた目標や夢を思い浮かべる方も多いでしょう。そう考えると、自分にはそんなものはないと感じやすくなります。
けれど、生きがいはもっと身近なものでも構いません。朝のコーヒーがおいしいと感じる瞬間や、好きな番組を待つ時間もそうです。週末の散歩が心地よいことも、立派な楽しみです。毎日の小さな楽しみや張り合いも、生きがいと呼んでよいものです。
専門家の中には、「生きがいは無理に持たなくてもよい」と語る人もいます。生きがいを探すことが苦しくなるなら、いったん探すのをやめても大丈夫です。気持ちに余裕ができたときに、また考えれば十分です。
生きがいがないと感じやすい5つのきっかけ
生きがいがないと感じる背景には、暮らしの中の変化があることが多いものです。当てはまるものがあれば、それがきっかけかもしれません。
性格や心の弱さの問題ではありません。まずは、どんなときにそう感じやすいのかを見ていきましょう。きっかけがわかると、次に何を変えればよいかも見えてきます。

毎日が同じことの繰り返しになっている
仕事と家の往復が続くと、新しいことに触れる機会が減ります。平日は仕事で疲れて、休日は家で休むうちに終わってしまいます。そんな毎日では、心が動く場面も少なくなります。
「楽しみがない」と感じるのは、この状態のときが多いものです。楽しめない自分が悪いのではありません。楽しみに出会う機会が、減っているだけなのです。
仕事の先行きや役割が見えてきた
40代・50代になると、昇進や働き方の先が見えてくることがあります。がむしゃらに頑張ってきた人ほど、目指すものがなくなったように感じやすくなります。
仕事を中心に毎日を組み立ててきた方は、ぽっかり穴があいたように感じるかもしれません。それだけ仕事に力を注いできたということです。これまでの頑張りを、否定する必要はありません。
人と関わる機会が減った
友人の結婚や子育て、転居などで、会う機会は少しずつ減っていきます。誘い合う相手がいないと、休日も一人で過ごす日が続きます。
独身の方は、家族の予定で人と関わる場面が多くありません。その分、人と関わる場を自分で選んで持つことになります。人と話す機会が減ると、毎日の張り合いも感じにくくなるものです。
体力や気力が落ちてきた
年齢を重ねると、疲れやすくなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。体が疲れていると、好きだったことにも手が伸びにくくなります。
気力が湧かないのは、怠けているからではありません。体の変化が、心の元気にも影響しているのかもしれません。まずは休むことを、自分に許してあげましょう。
内閣府の調査では、健康状態が「良い」60歳以上の人の95.5%が、生きがいを感じていました。「あまり良くない」人では54.8%です。体の調子と生きがいは、つながっていると考えられます。(出典:内閣府)
立派な生きがいを探してしまっている
「人に話せるような生きがいを持たなければ」と考えていませんか。大きな目標を探すほど、今ある小さな楽しみが目に入りにくくなります。
SNSで充実した暮らしを目にすると、自分と比べてしまうこともあるでしょう。同年代の話を聞いて、焦る日もあるかもしれません。けれど、比べる相手が変われば、自分の毎日の見え方も変わります。
生きがいの見つけ方|今日からできる6つのこと
生きがいを見つけるには、大きな目標を決めるより、小さく試すほうが近道です。心が動くものは、実際にやってみて初めてわかることが多いからです。
ここでは、今日から始められる6つのことを紹介します。全部を行う必要はありません。できそうなものから1つ選んでみましょう。

心が少し動いた瞬間を書きとめる
「おいしかった」「きれいだった」「時間を忘れていた」と感じた瞬間を、1日1行メモしてみましょう。手帳でもスマートフォンのメモでも構いません。
数週間続けると、自分がどんなときに心を動かされるのかが見えてきます。それが、生きがいの種になります。何も書けない日があっても大丈夫です。
書いたメモを月に一度読み返すと、同じ言葉が何度も出てくることに気づくかもしれません。それが、あなたが大切にしたいものです。
若いころに好きだったことを思い出す
学生時代の部活動や習いごと、よく通った場所を思い出してみましょう。夢中になっていたことには、今の自分にも合うヒントが隠れています。
一度経験したことは、再開のハードルが低いのも良いところです。昔読んだ本を読み返したり、昔聴いた音楽を流したりしてみましょう。それだけでも気持ちが少し動きます。
1回だけ試せることから始める
体験教室や日帰りの外出、公民館の講座などは、1回だけ試せます。続けるかどうかは、やってみてから決めれば十分です。
合わなければ、やめて次を試せばよいのです。たくさん試すほど、自分に合うものに出会いやすくなります。「合わなかった」とわかることも、ひとつの収穫です。
あわせて読みたい:「趣味がない」と悩む人へ|無理に探さなくていい理由と5つのヒント
誰かの役に立てる場に顔を出す
地域の活動やボランティア、知人の手伝いなど、誰かの役に立てる場に参加してみましょう。「ありがとう」と言われることは、思っている以上に心の支えになります。
先ほどの内閣府の調査では、続けている活動ごとの結果も出ています。生きがいを感じている人は、趣味や習いごとをしている人で93.1%でした。地域の活動をしている人は91.4%、ボランティアをしている人は91.2%です。特に活動をしていない人の62.7%と比べると、大きな差があります。(出典:内閣府)
60歳以上の人を対象にした調査ですが、年代を問わず参考になるでしょう。どちらが原因かまではわかりません。それでも、人と関わる場を持つことは、生きがいを感じる近道の一つです。
月に1回、人と会う予定を入れる
昔の友人や元同僚、趣味の仲間など、会いたい人との予定を月に1回入れてみましょう。長い時間でなくても、お茶を1杯飲むだけで十分です。
楽しみな予定が1つあるだけで、その日までの毎日に張りが出ます。誘うのが苦手な方は、決まった日に開かれる集まりに参加するのも良い方法です。
生きがいを1つに絞らない
生きがいは、1つに絞らなくて構いません。仕事や趣味、人とのつながり、暮らしの楽しみなど、小さな支えがいくつかあると安心です。
1つだけに頼っていると、それがうまくいかない時期に、毎日が空っぽに感じやすくなります。小さな楽しみをいくつか持つことが、長く続く生きがいになります。
「生きがい」と呼べるほどのものでなくて大丈夫です。少し楽しみなことが3つあれば、毎日はずいぶん変わります。
40代・50代・60代で変わる生きがいの持ち方
生きがいの持ち方は、年代によって少しずつ変わります。仕事や体、使える時間が変わるからです。
ここでは、年代ごとに起きやすい変化と、生きがいを持つためのヒントを紹介します。自分の年代に近いところから読んでみてください。

40代は、仕事以外の居場所を1つ持つ
40代は、仕事の責任が重くなる一方で、先行きも見えはじめる時期です。仕事に多くの時間を使う分、仕事がうまくいかないと毎日全体が重く感じられます。
ソニー生命は2025年4月に、全国の10〜70代1,400人へ調査をしています。この調査で、生きがいを感じる瞬間が「ある」と答えた40代は51.5%でした。10代の74.0%と比べると、40代では半数ほどにとどまっています。(出典:ソニー生命)
この時期は、仕事以外の居場所を1つ持っておきましょう。行くと落ち着く店や通っている教室、気軽に話せる仲間などです。仕事と関係のない場所があると、気持ちの逃げ場になります。
40代のうちに始めたことは、50代・60代まで長く続けやすいものです。今の自分が少し楽になることを、気軽に選んでみてください。
50代は、体と暮らしのペースを整えながら
50代は、体の変化や親の介護などで、予定どおりに過ごせない日が増えやすい時期です。新しいことを始める気力が湧かない日もあるでしょう。
無理に大きなことを始めなくて大丈夫です。散歩や料理、園芸など、体調に合わせて続けられる小さな楽しみを優先しましょう。独身の50代の方からは、「何を支えにすればよいのか」という声も聞かれます。続けられることが、そのまま支えになります。
将来への不安が大きいと、今の楽しみにも気持ちが向きにくくなります。不安の中身を整理しておくと、今の毎日に目を向けやすくなります。
あわせて読みたい:独身の不安との向き合い方|一生独身かもと感じたときの考え方
60代は、増えた時間の使い道を選び直す
60代は、定年や働き方の変化で、自由に使える時間が増える時期です。時間ができた分、何をすればよいかわからなくなる方もいます。
この時期は、誰かに頼られる役割を持つことが支えになります。地域の活動や、知識や経験を生かせる仕事、趣味の集まりの世話役などです。
同じ内閣府の調査では、働いている60歳以上の人の80.1%が、生きがいを感じていました。収入のためだけでなく、人と関わり、頼られる場になっているのかもしれません。(出典:内閣府)
働くことにこだわる必要はありません。週に一度でも、「あなたがいて助かった」と言ってもらえる場があると、毎日に張りが出ます。
気持ちのつらさが続くときは、ひとりで抱えなくていい
生きがいがないと感じることと、心の不調は別のものです。ただ、両方が重なっていることもあります。
厚生労働省のサイトでは、楽しみや喜びを感じないことを、うつ病の主な症状に挙げています。何か良いことがあっても、気分が晴れない状態です。こうした症状が2週間以上続き、それまでの暮らしが難しくなった状態がうつ病です。(出典:厚生労働省 こころの耳)
次のような状態が続いているときは、早めに相談を考えてみましょう。
- 好きだったことにも、楽しみや喜びを感じない
- 良いことがあっても、気分が晴れない日が続いている
- 疲れているのに、よく眠れない日が続いている
当てはまるからといって、病気だと決まるわけではありません。ただ、早めに相談するほど、つらさが軽いうちに手当てができます。
気持ちのつらさは、ひとりで抱えなくて大丈夫です。かかりつけ医や心療内科、精神科に相談してみましょう。電話やSNSで話を聞いてもらえる窓口もあります。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで相談できる窓口を探せます。悩みの内容や、相談の方法から選ぶことができます。
「こんなことで相談してよいのか」と迷う必要はありません。話すことで、気持ちが少し軽くなることもあります。
まとめ
生きがいがないと感じるのは、おかしなことではありません。毎日の繰り返しや仕事、人との関わり、体の変化など、きっかけは暮らしの中にあります。本人の落ち度ではありません。
生きがいは、大きなものでなくて大丈夫です。心が動いた瞬間を書きとめたり、1回だけ試してみたりすることから始められます。人と会う予定を入れるのも良い方法です。小さな楽しみをいくつか持つことが、毎日の支えになります。
気持ちのつらさが続くときは、ひとりで抱えずに相談してください。
まずは今日、心が少し動いたことを1行だけ書きとめてみましょう。
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