「このまま一生独身かもしれない」。ふとした瞬間に、そんな思いがよぎることがあります。ひとりで年を重ねていくことが、急に怖くなる夜もあるでしょう。
その不安は、あなただけが抱えているものではありません。そして、独身であることだけが原因とも限りません。
この記事では、独身でいることが不安になりやすい場面を5つ紹介します。そのうえで、不安と上手に付き合うための考え方をまとめました。気持ちが苦しいときの相談先にも触れています。
独身で不安になるのは、自然なこと
独身であることに不安を感じるのは、おかしなことではありません。周りに打ち明けにくい気持ちだからこそ、自分だけが悩んでいるように思えてしまいます。

不安を感じる人の割合は、独身でも結婚していてもほぼ同じ
2025年に内閣府が行った世論調査があります。日常生活の中で、悩みや不安を感じているかを聞いたものです。
「感じている」「どちらかといえば感じている」と答えた人は、結婚したことのない人で79.0%でした。結婚して配偶者がいる人では77.5%です。(出典:内閣府)
どちらも8割近くで、大きな差はありません。独身だから特別に不安が多い、というわけではないのです。
結婚していても、お金や健康、先のことを心配している人はたくさんいます。不安を抱えながら暮らすのは、多くの人に共通することだといえます。
独身の不安は、ひとりで抱え込みやすい
違いがあるとすれば、不安を話す相手が身近にいないことです。家族と暮らしていれば、何気ない会話の中で気持ちが軽くなることもあります。
ひとりの夜や休日は、考えごとをする時間が長くなりがちです。頭の中で同じ心配を繰り返すうちに、不安がだんだん大きく感じられてしまいます。疲れている日や眠る前は、特にそうなりやすいものです。
独身であることへの不安を打ち明ける声は、少なくありません。同じ気持ちで過ごしている人は、きっと身近にもいます。口に出していないだけで、あなたの周りにも同じように悩んだ人がいるはずです。
不安を感じるのは、自分の人生を真剣に考えている証拠でもあります。まずは、その気持ちを否定しないところから始めましょう。
独身でいることが不安になる5つの場面
独身であることへの不安は、毎日ずっと続くものではありません。多くの場合、ふとしたきっかけで押し寄せてきます。よくあるのは、次の5つの場面です。
- 友人の結婚や出産の知らせを聞いたとき
- 誕生日や年齢の節目を迎えたとき
- 親や親戚から結婚のことを言われたとき
- 体調を崩して、ひとりで寝込んだとき
- 休日の夜や年末年始を、ひとりで過ごすとき
どんな場面で不安になるのかが分かると、気持ちの波に振り回されにくくなります。「今はあの場面だから不安なんだ」と気づけるだけでも、少し落ち着けるはずです。

1. 友人の結婚や出産の知らせを聞いたとき
親しい友人の結婚は、心からうれしいものです。それなのに、同時に取り残されたような気持ちになることもあります。SNSで家族の写真を目にするたびに、自分と比べてしまう方もいるでしょう。
ただ、SNSで見えているのは、その人の暮らしの一場面だけです。楽しそうな写真の裏にも、それぞれの悩みがあります。比べているのは、相手の一番よいところと、自分の不安なところかもしれません。
友人の幸せを喜ぶ気持ちと、自分の寂しさは、両方あってよいものです。どちらかを無理に打ち消さなくても大丈夫です。
2. 誕生日や年齢の節目を迎えたとき
40歳や50歳などの節目は、これからの人生を考えるきっかけになります。「このまま一生独身かも」という思いが、強くなりやすい時期です。
2020年に、50歳の時点で一度も結婚していない人は、男性で28.3%、女性で17.8%でした。男性の4人に1人以上、女性の6人に1人ほどにあたります。(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
独身のまま50代を迎えるのは、珍しいことではありません。「何歳を過ぎたらもう遅い」という線も、どこにもないのです。年齢は、あなたの価値を決めるものではありません。
3. 親や親戚から結婚のことを言われたとき
「いい人はいないの」「孫の顔が見たい」。親や親戚からの言葉に、胸が痛むことがあります。親を悲しませているようで、申し訳なく感じる方もいるでしょう。
親の言葉の多くは、あなたを心配する気持ちから出ています。親が本当に知りたいのは、子どもが元気に暮らしているかどうかです。幸せに過ごしているかを気にかけている場合も、少なくありません。
仕事や趣味のこと、楽しかった出来事などを、ときどき話してみましょう。あなたの暮らしぶりが伝わると、親の心配がやわらぐこともあります。
結婚の話が出たときの返し方を、あらかじめ決めておくのもよい方法です。「今の暮らしに満足しているから、心配しないでね」など、短い言葉でかまいません。言い返す言葉を探して毎回悩むより、気持ちがずっと楽になります。
4. 体調を崩して、ひとりで寝込んだとき
熱が出たときは、買い物に行くのもつらいものです。そんなとき、「もっと年を取ったらどうなるのだろう」と考えてしまいます。
体が弱っているときは、気持ちも弱くなり、不安が大きく感じられるものです。そのときの不安は、体調が戻ると小さくなることが多いと覚えておきましょう。
元気になったら、困ったときに頼める人を思い浮かべてみてください。緊急連絡先をメモにして、目につく場所に置いておくのもひとつの方法です。「いざというときの手順」が決まっているだけで、次に寝込んだときの心細さはだいぶ違います。
5. 休日の夜や年末年始を、ひとりで過ごすとき
周りの人が家族と過ごす時期は、ひとりの静けさが寂しく感じられることがあります。街のにぎわいを見て、自分だけがひとりのように思える日もあるでしょう。
2025年の国の調査で、孤独を「しばしばある・常にある」と答えた人の割合を見てみましょう。結婚したことのない人では女性6.3%、男性11.3%でした。結婚して配偶者がいる人では女性2.5%、男性2.3%です。(出典:内閣府)
結婚したことのない人の方が高いのは確かです。一方で、多くの人はいつも孤独を感じているわけではありません。
また、孤独を感じるきっかけとして最も多かったのは「家族との死別」(24.6%)でした。結婚していても、孤独を感じることはあるのです。(出典:内閣府)
寂しくなりやすい時期が分かっているなら、少し前に予定を入れておきましょう。行ってみたかった場所に出かける、好きな料理を作るなど、自分のための計画で十分です。楽しみが1つあるだけで、その日の過ごし方は変わります。
独身の漠然とした不安と上手に付き合う5つの考え方
不安を完全に消そうとすると、かえって苦しくなります。不安はなくすものではなく、上手に付き合っていくものと考えると、気持ちが楽になります。
ここでは、独身であることへの漠然とした不安と付き合うための、5つの考え方を紹介します。全部を一度に取り入れる必要はありません。気になったものから試してみてください。

「独身だから」の不安と、誰にでもある不安を分けて考える
不安の中には、独身だからこそ感じるものと、誰にでもあるものが混ざっています。
お金や健康、老後の暮らしの心配は、結婚していても多くの人が抱えるものです。こうした不安は、準備をすることで小さくできます。年金の見込みを確かめる、健診を受けるなど、一つずつ手を打っていけば大丈夫です。
あわせて読みたい:将来が不安なあなたへ|不安の正体とひとりでもできる備えチェックリスト
一方で、周りと比べてしまう気持ちや、親に言われるつらさは、独身であることへの不安です。「このままでいいのか」という迷いも、同じ種類に入ります。
たとえば「老後にひとりでお金が足りるか心配」という不安があるとします。これは、家族がいても抱えることのある「お金の不安」です。「ひとりの老後を周りにどう思われるか」が気になる場合もあるでしょう。こちらは「独身であることへの不安」にあたります。同じ老後の話でも、分けてみると向き合い方が変わってくるのです。
独身であることへの不安は、考え方を少し変えるだけで軽くなることがあります。次からは、この不安との付き合い方を見ていきましょう。
人と比べるのをやめて、自分のものさしを持つ
結婚しているか、子どもがいるかで、人生のよしあしは決まりません。
2021年度の国の調査で、結婚したことのない独身の女性に、結婚の意思を聞いています。「出来ればしたくない」「したくない」と答えた人は、40代で31.4%、50代で55.6%でした。(出典:内閣府)
結婚しない生き方を自分で選んでいる人も、たくさんいます。どちらが正しいということはありません。
自分が大切にしたいことを、3つほど挙げてみましょう。仕事、趣味、自由な時間、友人とのつながりなど、何でも構いません。挙げたものが満たされているなら、あなたの暮らしは十分に豊かです。比べる相手は、周りの誰かではなく、昨日の自分で十分です。
あわせて読みたい:「結婚したくない」はおかしくない|6つの理由と将来の備え
「一生独身かも」の答えを急がない
不安なときは、早く答えを出して楽になりたくなるものです。「もう一生ひとりだ」と決めつけたり、焦って何かを始めたりしたくなります。
けれど、結婚するかしないかを、今決める必要はありません。気持ちは、年齢や出来事によって変わっていきます。どちらの道も選べる状態のままでいて、よいのです。
決めきれない自分を、責めなくて大丈夫です。一生独身という生き方について知っておくと、選べる道の見通しが立ちやすくなります。
あわせて読みたい:一生独身という生き方|生涯独身の割合と向いている人・年代別の備え
気持ちを話せる相手を1人持つ
不安は、口に出すだけで小さくなることがあります。頭の中で考えていたことも、言葉にすると整理されていくからです。
話す相手は、家族でなくても構いません。同じように独身の友人や、きょうだい、昔からの知り合いでもよいでしょう。久しぶりに連絡を取った相手が、同じ悩みを抱えていたということもあります。
アドバイスをもらう必要はありません。「聞いてもらうだけでいい」と伝えれば、相手も気軽に耳を傾けてくれます。身近に話せる人が見つからないときは、このあとで紹介する相談窓口も使えます。
ひとりの時間を、自分を満たす時間に変える
不安の多くは、まだ起きていない先のことについてのものです。先のことばかり考えていると、今の暮らしの楽しさを見落としてしまいます。
今日の暮らしの中に、楽しみを1つ置いてみましょう。朝の散歩、好きな料理を作る時間、趣味に集中するひとときなど、小さなことで構いません。楽しみに向かっている間は、不安から自然と気持ちが離れていきます。
新しいことを始めるのもよいでしょう。前から気になっていた習いごとや、地域の講座に参加してみるのもひとつです。好きなことを通じて、自然と人とのつながりが生まれることもあります。
ひとりの時間を楽しめることは、独身の人の強みです。自分の好きなように時間を使える日々を、少しずつ味わってみてください。
不安で苦しいときは、ひとりで抱えなくていい
なんとなく不安な気持ちが続いて、夜も眠れないことがあります。食欲がなかったり、仕事や家事が手につかなかったりすることもあるでしょう。
そんな状態が続くときは、ひとりで抱え込まないでください。かかりつけの医療機関や、心療内科・精神科に相談してよいのです。つらさが続いていること自体が、相談してよい理由になります。
「この程度で相談していいのかな」と迷う方もいるでしょう。病気かどうかを、自分で判断する必要はありません。話を聞いてもらい、今の状態を一緒に確かめてもらいましょう。それだけでも、気持ちは落ち着きやすくなります。
誰にも話せないときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」から相談先を探せます。電話やSNSで相談できる窓口が紹介されています。生きるのがつらいと感じるほど苦しいときも、ここから相談先を探せます。
まとめ
独身で将来が不安になるのは、自然なことです。不安を感じる人の割合は、結婚していてもほとんど変わりません。独身の人は、それをひとりで抱えやすいだけなのです。
友人の結婚や年齢の節目など、不安が強くなる場面は人それぞれです。「独身だから」の不安と、誰にでもある不安を分けて考えてみましょう。
人と比べず、答えを急がずにいきましょう。話せる相手とひとりの楽しみを持つだけで、不安との付き合い方は変わっていきます。
まずは今週、気持ちを話せそうな人に、近況を伝えるメッセージを送ってみましょう。結婚しても、しなくても、自分の人生は自分で選んでいいのです。
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