「独身女性の老後は悲惨」「独身の末路」といった言葉を、ネットで目にすることがあります。ひとりで年を取ることが、急に怖くなった方もいますよね。40代、50代と年齢を重ねるほど、気になるものです。
先にお伝えすると、「悲惨」として語られる話の多くは、老後の心配ごとです。お金や病気、介護、住まい、孤独などです。どれも、独身の女性だけに起こることではありません。そして、前もって備えられることがたくさんあります。
この記事では、よく語られる7つの不安を、公的なデータや制度で確かめました。それぞれの本当のところを整理し、今からできる6つの備えもあわせて紹介します。
独身女性の老後が悲惨と決まっているわけではない
独身だからといって、老後が悲惨になると決まっているわけではありません。老後の暮らしを左右するのは、結婚しているかどうかだけではないからです。大切なのは、お金・健康・人とのつながりにどう備えるかです。
50歳の時点で一度も結婚していない女性は、2020年に17.8%でした。およそ6人に1人です。(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
「生涯独身」という言葉もあります。ですが、独身のまま年を重ねる女性は、決して珍しい存在ではありません。
また、ひとりで老後を迎えるのは、独身の女性に限りません。夫を亡くしたり、離婚したりしてひとりになる女性もいます。65歳以上でひとり暮らしをしている女性は、2020年に約441万人でした。65歳以上の女性の22.1%にあたります。(出典:内閣府)
子どもがいるかどうかにも、かかわりません。ひとりの老後は、多くの女性にとって身近なものなのです。
独身の人ほど、老後を不安に感じているとも限りません。2025年8月の国の調査では、悩みや不安を感じている人に、その内容を聞いています。「老後の生活設計」を挙げた人は、結婚したことのない人で58.1%でした。配偶者のいる人では67.4%です。(出典:内閣府)
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「独身女性の老後は悲惨」と言われる7つの不安と本当のところ
「悲惨」として語られる話は、だいたい次の7つにまとまります。どれも、あなただけが感じている不安ではありません。ひとつずつ、よく言われる不安と本当のところ、備えられることを見ていきましょう。

1. 年金が少なく、お金が足りなくなるのでは
「女性は年金が少なく、ひとりでは老後を支えきれない」という不安は、よく聞かれます。
たしかに、会社員などが受け取る厚生年金の平均額は、女性の方が低くなっています。2024年度末の平均月額は、男性が約17万円、女性が約11万円でした。基礎年金を含めた額です。(出典:厚生労働省)
厚生年金の額は、働いた期間と、その間の収入によって決まります。そのため、働き方や収入の差が、年金の差に表れます。また、女性は長生きです。65歳の女性の平均余命は、2025年で24.52年でした。(出典:厚生労働省)
ただ、老後が長いのは、結婚しているかどうかに関係なく女性に共通することです。そして、老後に必要なお金は、住まいや暮らし方によって大きく変わります。「独身の女性だから足りなくなる」と一律に決まるものではありません。
非正規で働いてきた方や、収入に波がある方もいるでしょう。そうした方ほど、まずは自分の年金の見込みを知ることが出発点です。見込額が分かれば、足りない分をどう補うかを落ち着いて考えられます。確かめ方は、このあとの「備え」で紹介します。
働ける間は働き続けることも、老後のお金を支える方法のひとつです。会社には、希望する人が65歳まで働ける仕組みを整える義務があります。70歳まで働く機会をつくることも、会社の努力義務です。(出典:厚生労働省)
それでも生活が苦しくなったときに、頼れる仕組みもあります。生活の困りごとは、お住まいの地域の「自立相談支援機関」に相談できます。収入や資産が足りないときの「生活保護」は、お住まいの地域の福祉事務所が窓口です。困ったときは、ひとりで抱え込まずに相談しましょう。
2. 病気やけがのとき、頼れる人がいないのでは
入院するときに、手続きや保証人を頼める家族がいないという不安もよく聞かれます。
入院の際に、身元保証人を求める病院は少なくありません。ただし、国の考え方ははっきりしています。2018年に出された厚生労働省の通知があります。身元保証人がいないことだけを理由に入院を断るのは、医師法に反するというものです。
翌2019年には、国から医療機関にガイドラインも示されました。身寄りのない人の入院や、医療についての決定を支えるためのものです。
身元保証や、亡くなった後の手続きを引き受ける民間のサービスもあります。2024年には、こうした事業者向けのガイドラインを国が定めました。利用するときは、契約の内容と費用をよく確かめましょう。
とはいえ、いざというときに連絡がつく人がいれば心強いものです。緊急連絡先を決めておくことや、かかりつけの医療機関を持つことで備えられます。
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3. 親の介護をひとりで背負うのでは
「きょうだいに頼れず、仕事を辞めて親の介護をすることになる」という不安もあります。
ですが、介護は家族だけで抱えるものではありません。介護保険のサービスを使えますし、困ったときは「地域包括支援センター」に相談できます。市町村が設置する、高齢者の暮らしの総合相談の窓口です。介護をする家族からの相談も受け付けています。
働きながら介護に向き合うための制度もあります。
厚生労働省は、介護休業を、自分で介護をするための期間ではないとしています。仕事と介護を両立できる体制を整えるための、準備の期間と考えるよう呼びかけています。
使える条件は、勤め先の担当部署で確かめておきましょう。親が元気なうちに、親の住む地域の地域包括支援センターを調べておくと安心です。
4. 自分に介護が必要になったとき、困るのでは
親の介護だけでなく、「自分の介護を頼める家族がいない」と心配する方もいます。施設に入れないのでは、という声も聞かれます。
介護保険のサービスは、お住まいの市区町村の窓口で「要介護認定」を申請して使い始めます。どう申請すればよいか迷うときは、地域包括支援センターにも相談できます。
施設についても、知っておきたいことがあります。先ほど紹介した入院などのガイドラインは、介護施設にも触れています。身元保証人がいないことは、施設がサービスを断る正当な理由にならない、という内容です。
判断する力が衰えたときに備える仕組みとして、「任意後見」という制度もあります。元気なうちに、自分で選んだ人に将来の財産管理などを頼んでおく仕組みです。どの仕組みが合うか迷うときは、地域包括支援センターに相談できます。
5. 年を取ると、部屋を借りにくくなるのでは
「高齢のひとり暮らしは、賃貸の入居を断られやすい」という話もあります。国も、そうした心配を持つ大家さんが多いと説明しています。入居者が亡くなったときの対応や、家賃の滞納などへの心配です。
そこで国は、「住宅セーフティネット制度」を設けています。高齢の人などの入居を拒まない賃貸住宅を、都道府県などに登録する仕組みです。登録された住宅は、専用のサイトで探せます。
2025年10月には法律が改正され、「居住サポート住宅」という仕組みも始まりました。支援の団体が大家さんと連携し、安否確認や見守りを行う賃貸住宅です(2026年10月時点)。
住まいの選択肢は、賃貸だけではありません。今の持ち家に住み続ける方法もあります。高齢者向けの住宅や、気の合う人と暮らすシェアハウスを選ぶ人もいます。どの住まいが合うかは、体力や収入、人とのつながり方によって変わります。
6. 年を重ねるほど孤独になるのでは
「友人が家庭を持ち、話し相手がいなくなる」という声もあります。老後をひとりで過ごすのは寂しい、と感じる方もいるでしょう。
2025年の国の調査では、孤独感があるかを聞いています。「しばしばある・常にある」と答えた女性の割合は、次のとおりです。
- 結婚したことのない人: 6.3%
- 配偶者のいる人: 2.5%
- 配偶者と死別した人: 3.3%
- 離婚した人: 6.5%
(出典:内閣府)
結婚したことのない人の方が、配偶者のいる人より高いのは確かです。一方で、9割以上の人は強い孤独を感じているわけではありません。また、離婚した人とはほぼ同じ割合です。孤独は、結婚していれば無縁というものでもないのです。
寂しさを感じる日があるのは、自然なことです。そんな日があっても、自分を責める必要はありません。寂しさを感じたときに声をかけられる相手を、少しずつ増やしていけば大丈夫です。
同じ調査では、不安や悩みの相談相手も聞いています。相談相手がいる女性のうち、「友人・知人」を挙げた人は50代で70.9%、60代で63.5%でした。家族がいなくても、友人や近所の人とのつながりは自分でつくれます。
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7. ひとりで亡くなり、見つけてもらえないのでは
「孤独死する」という話は、とくに不安をかき立てやすいものです。
警察の集計では、自宅で亡くなったひとり暮らしの人は、2024年に7万6,020人でした。そのうち約76%は65歳以上の人です。(出典:警察庁)この集計に男女別や、結婚しているかどうかの区別はありません。
ここで知っておきたいことがあります。これは独身かどうかではなく、ひとりで暮らす人に起こりうることだという点です。また、亡くなった当日か翌日に見つかった人は2万8,756人で、全体の約4割にあたります。
大切なのは、もしものときに早く気づいてもらえる仕組みをつくっておくことです。定期的に連絡を取り合う相手がいるだけでも、状況は大きく変わります。
「独身女性の老後は悲惨」と言われやすいのはなぜか
老後の心配ごとの多くは、独身かどうかに関係なく起こりえます。それでも「独身女性の老後は悲惨」と言われやすいのには、次のような理由があります。
- 古い見方が残っている: 「女性は結婚して家族に支えられるもの」という見方が今もあります
- 極端な話が目立ちやすい: ネットでは、極端な事例が広まりやすくなります。結婚や資産運用、有料のサービスをすすめる立場からの情報も目に入りやすいものです
- 心配ごとをひとまとめにしやすい: お金や健康の心配を、何でも「独身のせい」にしがちです
結婚した友人と自分を比べて、焦ってしまうこともあるかもしれません。ですが、結婚していても、夫の介護や死別、老後のお金の心配は起こりえます。どんな暮らしにも、それぞれの悩みがあるのです。
「独身のままだと、いつか後悔する」と言われることもあるでしょう。ですが、結婚していない理由は人それぞれです。
2021年度の国の調査では、40〜69歳の独身女性に結婚について聞いています。積極的に結婚したいと思わない人に、その理由をたずねたものです。60.7%が「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」に当てはまると答えました。(出典:内閣府)
時間やお金を自分のために使えることは、独身の暮らしのよさです。付き合う人を自分で選べることも、そのひとつです。独身は、自分で選んだ生き方のひとつです。「悲惨」という言葉で、これからの暮らしをひとつに決めつける必要はありません。
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独身女性が安心して老後を迎えるための6つの備え
ここまで見てきた不安の多くは、早めの備えで小さくできます。どれも、特別なお金や手間がかかるものではありません。独身のまま老後をどうするか考えたいときに、今日から始められる6つの備えを紹介します。

年金の見込額を知り、長い老後のお金の見通しを立てる
「ねんきん定期便」は、毎年の誕生月に届きます。50歳以上の方には、65歳から受け取れる年金の見込額が書かれています。「ねんきんネット」では、働き方などの条件を変えて見込額を試算できます。
年金は、原則65歳から受け取ります。受け取り始めを遅らせると、その分だけ年金額が増える仕組みもあります。「繰下げ受給」といいます。どの時期がよいかは人によって違うため、迷うときは年金事務所や専門家に相談しましょう。
緊急連絡先と「もしものときのメモ」を用意する
入院したときに連絡してほしい人を、あらかじめ決めておきましょう。きょうだいや親しい友人、めいやおいなどに、早めにお願いしておくと安心です。
あわせて、次のようなことをメモにまとめておきます。
- 持病や飲んでいる薬、かかりつけの医療機関
- 加入している保険や、年金の書類の置き場所
- もしものときに連絡してほしい人
お願いする相手にも、仕事や家庭の事情があります。ひとりに頼りきりにならないよう、2人ほどにお願いできると心強いでしょう。
メモは、緊急連絡先をお願いした人にも置き場所を伝えておきましょう。市販のエンディングノートを使うと、書く項目に迷わずに済みます。
異変に気づいてもらえる仕組みをつくる
週に一度は連絡を取り合う相手を決めておきましょう。短いメッセージを送り合うだけでも、もしものときに早く気づいてもらえます。
近所の人と、日ごろからあいさつを交わしておくのもひとつの方法です。郵便物がたまっているなどの変化に、気づいてもらいやすくなります。
市区町村では、高齢の人の見守りや安否確認などの支えづくりが進められています。配食サービスと見守りを組み合わせた取り組みもあります。民間の見守りサービスもあります。どんな仕組みがあるか、お住まいの市区町村で確かめてみましょう。
健康診断と女性のがん検診を習慣にする
40〜74歳の方は、「特定健康診査(特定健診)」を受けられます。加入している医療保険が行う健康診断です。
女性の場合は、がん検診も習慣にしておきたいところです。国の指針では、乳がん検診は40歳以上で2年に1回とされています。子宮頸がん検診は、20歳以上で2年に1回です。多くの市区町村が費用の多くを負担しているので、案内を確かめてみましょう。
結果について気軽に相談できる、かかりつけの医療機関も決めておくと安心です。
住まいを体力と収入があるうちに考える
今の住まいに住み続けるのか、どこかで住み替えるのかを、一度考えておきましょう。それだけで、老後の見通しがぐっと立てやすくなります。
住み替えを考えるなら、体力も収入もあるうちに動き始める方が、選択肢は広がります。階段の上り下りや買い物のしやすさ、病院までの距離なども、年を重ねるほど大切になります。
今の住まいに住み続ける場合も、早めの点検がおすすめです。玄関や浴室の段差、手すりの有無などを見て、安全に暮らせるかを確かめておきましょう。気になるところは、元気なうちに少しずつ直しておくと安心です。
仕事以外のつながりと相談先を持つ
仕事以外に顔を出せる場所を持っておきましょう。趣味の仲間や学びの場、地域の集まりなどです。仕事を退いたあとも続けられるつながりは、老後の暮らしの支えになります。地域のボランティアや、近所の人が集まる通いの場に参加する人もいます。最初は、月に1回の集まりに参加するくらいで十分です。
困ったときの相談先として、地域包括支援センターも覚えておきましょう。親のことだけでなく、自分が高齢になってからの暮らしの相談もできます。
気持ちのつらさが続くときは、ひとりで抱え込まないでください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで相談できる窓口を探せます。
まとめ|独身女性の老後の生き方は自分で選べる
独身女性の老後が、悲惨と決まっているわけではありません。語られる不安の多くは、ひとりで老後を迎える人に共通するものです。そして、前もって備えることができます。
大切なのは、お金・健康・人とのつながり・住まいを、少しずつ整えていくことです。困ったときに相談できる窓口も、たくさん用意されています。どんな老後を送るかは、自分で選べます。
まずは「ねんきん定期便」を開いてみましょう。そして、緊急連絡先をお願いできる人を1人決めることから始めてください。
独身なび編集部のX(@dokushin_navi)では、ひとりの暮らしに役立つ情報をお届けしています。


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