「独身男性の末路」と言われる現実と本当のところ|今からできる備え

ネットでは「独身男性の末路は悲惨」「40代独身男性は悲惨」といった言葉を目にします。自分の老後は大丈夫だろうかと、気になった方もいますよね。

先にお伝えすると、「末路」として語られる話の多くは、老後の心配ごとです。お金や病気、親の介護、孤独などです。どれも独身の人だけに起こることではありません。そして、前もって備えられることがたくさんあります。

この記事では、よく語られる6つの話を公的なデータで確かめました。それぞれの本当のところを整理しています。今からできる5つの備えもあわせて紹介します。

独身男性の末路は決まっていない

独身だからといって、決まった「末路」があるわけではありません。老後の暮らしを左右するのは、結婚しているかどうかだけではないからです。大切なのは、お金・健康・人とのつながりにどう備えるかです。

50歳の時点で一度も結婚していない男性は、2020年に28.3%でした。4人に1人を超える割合です。(出典:国立社会保障・人口問題研究所)独身のまま年を重ねる男性は、決して少数派ではありません。

また、結婚していても、ひとりで老後を迎えることはあります。配偶者と死別したり、離婚したりした場合です。65歳以上でひとり暮らしをしている男性は、2020年に約231万人でした。(出典:内閣府)ひとりの老後は、独身の人だけの話ではないのです。

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「独身男性の末路」でよく語られる6つの話と本当のところ

ネットで「末路」として語られる話は、だいたい次の6つにまとまります。ひとつずつ、よく言われる話と本当のところ、備えられることを見ていきましょう。

自宅のダイニングテーブルで、封筒とノートを広げて落ち着いて見通しを整理する男性の手元

1. 老後のお金が足りなくなるのでは

よく言われるのは、「年金だけでは足りず、頼れる家族もいない」という話です。

ただ、老後に必要なお金は、住まいや暮らし方によって大きく変わります。「独身だから足りなくなる」と一律に決まるものではありません。

独身の場合は、自分ひとり分の見通しを立てればよいという面もあります。家族の生活費や子どもの教育費を考えなくてよい分、計画を立てやすいともいえます。

まずは、自分が受け取れる年金の見込みを知ることが出発点です。見込額が分かれば、足りない分をどう補うかを落ち着いて考えられます。確かめ方は、このあとの「備え」で紹介します。

2. 病気やけがのとき、頼れる人がいないのでは

入院の手続きや、保証人を頼める家族がいないという心配もよく聞かれます。

たしかに、入院のときに身元保証人を求める病院は少なくありません。ただし国は、2018年の厚生労働省の通知ではっきりと示しています。身元保証人がいないことだけを理由に入院を断るのは、医師法に反するというものです。

2019年には、身寄りのない人の入院や、医療についての意思決定を支えるためのガイドラインも、国から医療機関に示されました。

それでも、いざというときに連絡がつく人がいると心強いものです。緊急連絡先を決めておくことや、かかりつけの医療機関を持つことで備えられます。

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3. 親の介護をひとりで背負うのでは

「きょうだいに頼れず、仕事を辞めて介護することになる」という話もあります。

ですが、介護は家族だけで抱えるものではありません。介護保険のサービスを使えます。困ったときは「地域包括支援センター」に相談できます。市町村が設置する、高齢者の総合相談の窓口です。家族からの介護の相談も受け付けています。

仕事を続けながら介護に向き合うための制度もあります。

  • 介護休業: 介護が必要な家族1人につき、通算93日まで、3回に分けて休める
  • 介護休暇: 介護が必要な家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで休める

使える条件は、勤め先の担当部署で確かめておきましょう。親が元気なうちに、親の住む地域の地域包括支援センターを調べておくと安心です。

4. ひとりで亡くなり、見つけてもらえないのでは

「孤独死する」という話は、特に不安をかき立てやすいものです。

警察の集計では、自宅で亡くなったひとり暮らしの人は、2024年に7万6,020人でした。そのうち約76%は65歳以上の人です。(出典:警察庁)

ここで知っておきたいのは、これは独身かどうかではなく、ひとりで暮らす人に起こりうることだという点です。配偶者を亡くしてひとりで暮らす高齢の人も、多く含まれています。また、この数字には、亡くなってすぐに見つかった人も含まれています。

大切なのは、異変に早く気づいてもらえる仕組みをつくっておくことです。定期的に連絡を取り合う相手を決めておくだけでも、状況は変わります。

5. 平均寿命が短いのでは

「独身男性の平均寿命は67歳」という話も、よく見かけます。

しかし、この67歳は平均寿命ではありません。その年に亡くなった未婚の男性の年齢をもとにした数字です。日本の男性の平均寿命は、2025年で81.35年です。(出典:厚生労働省)

若くして亡くなった人は、結婚する前であることが多くなります。そのため、亡くなった人の年齢で比べると、未婚の人の数字は低く出やすいのです。

実際に、2024年に亡くなった未婚の男性のうち、65歳未満の人は37.3%でした。結婚している男性では6.1%です。(出典:厚生労働省の統計をもとに編集部で集計)

なお、配偶関係ごとの平均寿命は、現在は国から公表されていません。独身だから寿命が短いと決まっているわけではないのです。健康診断や食事、運動など、自分で整えられる部分もたくさんあります。

6. 年を重ねるほど孤独になるのでは

「友人が家庭を持ち、話し相手がいなくなる」という声もあります。

2025年の国の調査で、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた男性は、50代で7.6%でした。40代は6.2%、60代は5.5%です。未婚の男性では11.3%と、結婚している男性の2.3%より高くなっています。(出典:内閣府)

寂しさを感じやすい場面があるのは、独身の人にとって自然なことです。一方で、未婚の男性の9割近くは、孤独を強く感じているわけではありません。

また、孤独感は結婚していれば無縁というものでもありません。孤独感がある人に、きっかけになった出来事を聞いた2024年の調査があります。最も多かったのは「家族との死別」(24.6%)でした。(出典:内閣府)

家族がいなくても、友人や趣味の仲間、近所の人とのつながりは持てます。つながりは、何歳からでも自分でつくることができます。

「末路」と言われやすいのはなぜか

老後の心配ごとの多くは、独身かどうかに関係なく起こりえます。それでも「独身男性の末路」という言葉が広まるのには、次のような理由があります。

  • 結婚して当たり前という見方: 家庭を持つことが当たり前とされた時代の見方が、今も残っています
  • 極端な話が目立ちやすい: ネットでは、極端な事例や結婚をすすめる立場からの情報が目に入りやすくなります
  • 心配ごとをひとまとめにしやすい: お金や健康の心配を、すべて「独身のせい」とまとめてしまいがちです

結婚していない理由は、人それぞれです。2021年度の国の調査では、積極的に結婚したいと思わない40〜69歳の独身男性に、その理由を聞いています。44.1%が「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」に当てはまると答えました。(出典:内閣府)

「末路」という言葉は、先の暮らしをひとつに決めつけてしまいます。ですが、実際の暮らしは人の数だけあります。独身は、自分で選んだ暮らし方でもあるのです。独身であることと、その人の人柄や将来とは別の話です。

独身男性が安心して年を重ねるための5つの備え

ここまで見てきた心配ごとの多くは、早めの備えで小さくできます。どれも、特別なお金や手間がかかるものではありません。今日から始められる5つの備えを紹介します。

川沿いの遊歩道を、同年代の知人と並んで散歩する50代男性の後ろ姿

年金の見込額を知り、お金の見通しを立てる

「ねんきん定期便」は、毎年の誕生月に届きます。50歳以上の方には、老後に受け取れる年金の見込額が書かれています。「ねんきんネット」では、働き方などの条件を変えて見込額を試算できます。

見通しが立つと、漠然とした不安は具体的な準備に変わります。資金計画に迷うときは、専門家に相談するのもひとつの方法です。

緊急連絡先と「もしものときのメモ」を用意する

入院したときの緊急連絡先を、誰にお願いするかを決めておきましょう。きょうだいや親しい友人に、あらかじめ話しておくと安心です。

あわせて、次のようなことをメモにまとめておきます。

  • 持病や飲んでいる薬、かかりつけの医療機関
  • 加入している保険や、年金の書類の置き場所
  • もしものときに連絡してほしい人

メモは、緊急連絡先の人にも置き場所を伝えておくと安心です。エンディングノートを使うのもよいでしょう。

頼れる人がいない場合に使える仕組みもあります。判断する力が衰えたときに備える「任意後見」などです。気になる方は、早めに調べておきましょう。

異変に気づいてもらえる仕組みをつくる

週に一度は連絡を取り合う相手を決めておきましょう。もしものときに、早く気づいてもらえます。きょうだいや友人と、短いメッセージを送り合うだけでもかまいません。

市区町村では、高齢の人の見守りや安否確認などの支援づくりが進められています。民間の見守りサービスもあります。

近所の人と、日ごろからあいさつを交わしておくのもひとつの方法です。郵便物がたまっているなどの変化に、気づいてもらいやすくなります。どんな仕組みがあるかは、お住まいの市区町村で確かめてみましょう。

健康診断を毎年受ける

40〜74歳の方は、「特定健康診査(特定健診)」を受けられます。加入している医療保険が行う健康診断です。会社の健康診断を受けている方は、それが特定健診を兼ねている場合もあります。

毎年受けておくと、体の変化に早めに気づけます。結果について相談できる、かかりつけの医療機関も決めておきましょう。

仕事以外のつながりを持つ

仕事以外に顔を出せる場所を持っておきましょう。趣味の仲間や学びの場、地域の集まりなどです。仕事を退いたあとも続けられるつながりは、老後の暮らしの支えになります。最初は、月に1回の集まりに顔を出すくらいで十分です。

困ったときに相談できる窓口として、地域包括支援センターも覚えておくと安心です。親のことだけでなく、自分が高齢になってからの暮らしの相談もできます。

まとめ

独身男性に、決まった「末路」はありません。語られる心配ごとの多くは、ひとりで老後を迎える人に共通するものです。そして、前もって備えることができます。

大切なのは、お金・健康・人とのつながりを少しずつ整えていくことです。まずは「ねんきん定期便」を開いてみましょう。そして、緊急連絡先をお願いできる人を1人決めることから始めてください。

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